ネットワーク時刻の同期

時刻同期は、ネットワーク全体で一貫したサーバ時刻を維持するためのサービスです。時刻同期は、eDirectoryではなく、サーバのオペレーティングシステムによって提供されます。eDirectoryはeDirectory自体の内部時刻に基づいてeDirectoryパケットの正しい順序を維持しますが、その時刻はサーバのオペレーティングシステムから取得されます。

このセクションでは、NetWareの時刻同期と、Windows、Linux、およびSolarisの時刻同期との統合について説明します。


NetWareサーバで時刻を同期する

IPネットワーク、および混合プロトコルネットワークでは、NetWare 5.xサーバはIPを使用する他のサーバと時刻を同期します。NetWare 5.xサーバは、TIMESYNC.NLMとNTP(ネットワーク時刻プロトコル)を使用してこの同期を行います。

NetWare 5.xは、サーバでIPまたはIPXTMのみが使用されている場合も、両方のプロトコルが使用されている場合も、TIMESYNC.NLMを使用して時刻を同期します。TIMESYNC.NLMはサーバのインストール時にロードされます。NTPはTIMESYNC.NLMを通して設定できます。

ネットワーク内にWindows、Linux、またはSolarisシステムが含まれている場合は、時刻同期の標準であるNTPを使用してサーバを同期します。

NetWare 3とNetWare 4には、サードパーティのNTP時刻サービスを使用できます。

時刻同期ソフトウェアの詳細については、U.S. Naval Time Service DepartmentのWebサイトを参照してください。


NTP

NTPは、UDPプロトコルスイートの一部として機能します。UDPプロトコルスイートは、TCP/IPプロトコルスイートの一部として機能します。したがって、NTPを使用するコンピュータには、TCP/IPプロトコルスイートがロードされている必要があります。インターネットへアクセスするネットワーク内のコンピュータは、いずれもインターネット上のNTPサーバから時刻を取得できます。

NTPは国際時刻標準である、協定世界時(UTC)に時刻を同期します。

NTPには、stratum(層)という概念が導入されています。stratum-1サーバには、ラジオ時計または原子時計などの正確な時計が内蔵されています。stratum-2サーバはstratum-1サーバから時刻を取得します。同様に、各層のサーバは1つ前の層のサーバから時刻を取得します。

NetWare 5サーバでは、NTP.NLMをロードすることによって、TIMESYNC.NLMを通してNTP時刻同期を実装できます。IPサーバでTIMESYNC.NLMによってNTPを設定すると、NTPはIPサーバとIPXサーバの両方のタイムソースとして機能するようになります。この場合、IPXサーバはセカンダリサーバとして設定する必要があります。

時刻同期の詳細については、NovellマニュアルのWebサイトで、[NetWare 5.1]マニュアルセット>『Network Time Management』を参照してください。


TIMESYNC.NLM

TIMESYNC.NLMはNetWareサーバ間の時刻を同期します。TIMESYNC.NLMは、インターネットNTPサーバなどの外部タイムソースと併せて使用できます。また、TIMESYNC.NLMが実行されているサーバに合わせて時刻を更新するよう、Novell Clientワークステーションを設定することもできます。

時刻同期の詳細については、NovellマニュアルのWebサイトで、[NetWare 5.1]マニュアルセット>『Network Time Management』を参照してください。


Windowsサーバで時刻を同期する

WindowsにはNTP時刻同期ユーティリティは組み込まれていません。Windows NT 4.0 Resource Kitには、NTP準拠の時刻サーバが含まれています。

Windowsでの時刻同期の詳細については、サーバのマニュアルを参照してください。


Linux、Solarisシステムで時刻を同期する

TIMESYNC 5.09ユーティリティを使用して、Linux、Solaris、およびNetWareシステムの時刻を同期できます。TIMESYNCユーティリティはNetWare 5 Support Pack 2に含まれています。このSupport Packは、NovellサポートコネクションのWebページからダウンロードできます。

  1. LinuxまたはSolarisシステム上でxntpdが稼動している場合は、このプロセスを停止します。

    • Linuxシステムの場合は、「/etc/rc.d/init.d/xntpd stop」と入力します。
    • Solarisシステムの場合は、「/etc/init.d/xntpd stop」と入力します。

NetWareと、LinuxまたはSolarisサーバとが混在するネットワークでLinuxまたはSolarisサーバをTimesyncサーバとして設定するには、次を実行します。

  1. ntp.confファイルを変更します。

    • Linuxシステムの場合は、/etc/ntp.confファイルに次の行を入力します。

      server IP_address_of_the_Linux_system

      fudge IP_address_of_the_Linux_system stratum 0

    • Solarisシステムの場合は、/etc/inet/ntp.confファイルに次の行を入力します。

      server IP_address_of_the_Solaris_system

      fudge IP_address_of_the_Solaris_system stratum 0

  2. xntpdを起動します。

    • Linuxシステムの場合は、「/etc/rc.d/init.d/xntpd」と入力します。
    • Solarisシステムの場合は、「/etc/init.d/xntpd」と入力します。

  3. ntptraceを確認します。

    次の情報が表示されます。

    localhost:stratum1, offset 0.000060. synch distance 0.01004, refid 'LCL'

    stratum番号には、1〜14までのいずれかの番号が示されます。

  4. NetWareサーバで、モニタをロードして [サーバのパラメータ]>[時刻]>[時刻同期タイムソース]の順に選択し、次のように入力します。

    • Linuxシステムの場合

      IP_address_of_the_Linux_system:123;

    • Solarisシステムの場合

      IP_address_of_the_Solaris_system:123;

  5. 保存して終了します。

    これで、NetWareサーバがNTPを使用して時刻を同期できるようになります。

LinuxまたはSolarisシステムをTimesyncクライアントとして設定するには、次を実行します。

  1. /etc/ntp.confファイル(Linuxシステムの場合)、または/etc/inet/ntp.confファイル(Solarisシステムの場合)に、次の行を入力します。

    server IP_address_of_the_Timesync_server

  2. ntpdateコマンドを使用して、LinuxまたはSolarisシステムの時刻をTimesyncサーバの時刻にできるかぎり近づけます。

  3. Timesyncサーバの時刻に調整できるまで、次のコマンドを繰り返します。

    ntpdate IP_address_of_the_Timesync_server

  4. xntpdを起動します。

  5. ntptraceを確認します。

    数分後、次の情報が表示されます。

    localhost:stratum 2, offset 0.000055, synch distance 0.02406 Solaris_server_name:stratum 1, offset 0.000030, synch distance 0.01064, refid 'LCL'

    最初の行のstratum番号には、2〜15までのいずれかの番号が示されます。15以下の場合は、そのコンピュータの時刻が2行目のコンピュータの時刻と同期されていることを表します。


時刻同期を確認する

ツリー内の時刻が同期されているか確認するには、Treeオブジェクトに対して読み書き可能以上の権利を持つ、Tree内のいずれかのサーバから、DSREPAIRを実行します。


NetWare

  1. サーバコンソールで、DSREPAIRをロードします。

  2. [時刻同期]を選択します。

    ログの解釈に関するヘルプを表示するには、<F1>を押します。


Windows

  1. NDSCONSOLEに移動してDSREPAIRを選択し、[スタート]をクリックします。

  2. [修復]>[時刻同期]の順にクリックします。


LinuxおよびSolaris

  1. 次のコマンドを実行します。

    ndsrepair -T