47.1 snAppShotの理解

snAppShotは、アプリケーションのインストール時にワークステーションに加えられる変更内容を記録します。インストールの進行に応じて、snAppShotはワークステーションの環境設定についてインストール前とインストール後の状態の違いをキャプチャし、両者を比較して、2つのアプリケーションオブジェクトテンプレート(.aotまたは.axt)ファイル、1つまたは複数のアプリケーションソース(.fil)ファイル、および1つのファイル定義(filedef.txt)ファイルで構成されるアプリケーションインストールパッケージを作成します。

47.1.1 アプリケーションオブジェクトテンプレート

Novell eDirectory™でアプリケーションオブジェクトを作成するには、アプリケーションオブジェクトテンプレートファイルを使用します。どちらのアプリケーションオブジェクトテンプレート(.aotおよび.axt)ファイルにも、オブジェクト作成中にアプリケーションオブジェクトプロパティフィールドに入力する際に使用する次の情報が含まれています。

  • アプリケーションオブジェクトに割り当てられるeDirectory名とワークステーションショートカット名。
  • アプリケーションのインストール中にワークステーションの環境設定(レジストリ設定、INI設定、テキストファイル修正など)を変更するのに必要な変更内容。
  • インストール中に使用するマクロの定義。
  • インストール時にワークステーションにコピーするアプリケーションファイルのリスト。ファイルのコピー元とコピー先の位置も含まれます。

.aotファイルはバイナリファイルなので編集できませんが、.axtファイルはテキストファイルなので、テキストエディタを使用して変更できます。snAppShotで作成した後にアプリケーションオブジェクトテンプレートを変更する必要が生じた場合は、.axtファイルを変更し、それを使用してアプリケーションオブジェクトを作成します。それ以外の場合は、.aotファイルの方が高速にインポートできるので、.aotファイルを使用します。

47.1.2 アプリケーションのソースファイル

snAppShotは、ワークステーションにインストールされるアプリケーションファイルもすべて追跡します。これらのファイルは、アプリケーションのソースファイルとして、ネットワークのソース位置にコピーされ、1から始まる数値を使用した名前に変更されて、.filというファイル拡張子が付けられます(たとえば、1.fil)。Novell Application Launcher™は、アプリケーションをワークステーションにインストールするときに、このソースファイルを使用します。

47.1.3 アプリケーションのファイル定義ファイル

.filファイルを元のファイルにマッピングするために、snAppShotはファイル定義(filedef.txt)ファイルを作成します。このテキストファイルは、.filファイルを元のファイルにマッピングするだけでなく、ファイルをワークステーションにインストールする際に使用する、インストール先の位置および名前も指定します。例:

1.fil=c:\dmi\win32\_deisl1.isu
2.fil=c:\dmi\win32\bin\wdmiutil.dll

47.1.4 snAppShotの制限

snAppShotを使用する前に、次の点に注意してください。

  • snAppShotは、Microsoft Windows InstallerによってインストールされるMSIアプリケーションでは機能しません。これには、Microsoft Office 2000やMicrosoft Office XPなどのアプリケーションがあります。

    MSIアプリケーションでは、アプリケーションの一部が「オンデマンド」でインストールされることがよくあります。つまり、MSIアプリケーションのインストール時のスナップショットには、アプリケーションのすべての機能が含まれていない可能性があります。このため、MSIアプリケーションは、AOT/AXT (snAppShot)アプリケーションとしてではなく、MSIアプリケーションとして配布する必要があります。詳細については、セクション 29.0, [配布]:複雑なアプリケーションを参照してください。

  • SnAppShotは、hex(800000007)など、Windows XPの一部の新しいレジストリタイプをサポートしていません。snAppShotをWindows XPで使用する場合は、生成された.axt/.aotファイル(または作成されたアプリケーションオブジェクトの[レジストリ]ページ)に、アプリケーション配布先となるWindows XPワークステーションの動作に悪影響を及ぼす変更が含まれないよう注意する必要があります。
  • snAppShotは、Windowsレジストリの容量が30MBを超える場合、失敗します。この場合、次のメッセージが表示されます。
    A critical 'out of memory' error has occurred. snAppShot must close.
    

    このエラーが発生した場合、解決策として、代わりにAdminStudio ZENworks Editionを使用することをお勧めします。詳細については、『AdminStudio ZENworks Edition Installation Guide』を参照してください。

  • snAppShotは、Windowsターミナルサーバをサポートしていません。他のターミナルサーバに配布するAOT/AXTアプリケーションを作成するのに、ターミナルサーバ上でsnAppShotを使用しないでください。
  • アプリケーションオブジェクトテンプレートは、バージョン4.0.1から6.5への移行に伴い、システム要件や配布ルールの変更など、複数の機能変更が実施されました。ZENworks 6.5以前の環境の場合は、.aotファイルを作成するときに[Create Pre 6.5 Application Object Template File (6.5以前のアプリケーションオブジェクトテンプレートファイルの作成)]オプションを選択して、この環境でファイルを使用できるようにする必要があります。デフォルトオプションの[Create 6.5 Application Object Template File (6.5アプリケーションオブジェクトテンプレートファイルの作成)]を使用した場合、ZENworks 6.5以前の環境では結果の.aotファイルを使用できません。