74.6 セレクタの理解

セレクタは、インベントリ対象ワークステーションからインベントリ情報を受信するサーバ上のJavaコンポーネントです。サーバは、リーフサーバ、データベースが接続されているリーフサーバ、データベースとインベントリ対象ワークステーションが接続されている中間サーバ、インベントリ対象ワークステーションが接続されている中間サーバ、インベントリ対象ワークステーションが接続されているルートサーバ、およびスタンドアロンサーバのいずれかです。セクション 74.12, インベントリサーバ上のインベントリコンポーネントの概要のサーバコンポーネント早見表を参照してください。

セレクタは次の処理を実行します。

  1. インベントリ対象ワークステーションのスキャン中に、スキャナは、インベントリ対象ワークステーションで実行される各スキャンについて、サーバのスキャンディレクトリ(\scandir)にスキャンデータファイル(.str)を作成します。\scandirの場所はインベントリサービスオブジェクトから取得します。セレクタは、スキャナが\scandirディレクトリに保存した.strファイルを処理します。

    さらにセレクタは、ZENworks for Desktops 4.xおよびZENworks 6.5 Desktop Managementのスキャナにより作成された.strファイルを検出し、Strコンバータがファイルを処理できるように、検出した.strファイルを\scandir\convディレクトリに移動します。

    セレクタは、次の種類の.strファイルを処理します。

    • フル: インベントリ対象ワークステーションのハードウェアとソフトウェアの全情報が含まれています。

    • デルタ: 最後のスキャン以降にインベントリに加えられた変更のみが含まれています。

    • [Delete]: Storerがデータベースからインベントリ対象ワークステーションオブジェクトを削除するために必要な情報が含まれています。この.strファイルは、インベントリ対象ワークステーションオブジェクトがeDirectoryから削除されたときに作成されます。

    • スケジュールフル: フルスキャンとデルタスキャンが含まれています。インベントリ対象ワークステーションオブジェクトデータの最後に保存されたステータスに応じて、Storerはフルスキャンまたはデルタスキャンのいずれかを処理します。Storerは、スケジュールフルの.strファイルを使用して、データベースに保存されているインベントリ対象ワークステーションのインベントリデータエラーを修正します。

      ワークステーションインベントリポリシーを使用して、スケジュールフルスキャンを設定し、一定回数のデルタスキャンを実行した後フルスキャンを送信できます。この値は5から65535に設定する必要があります。スケジュールフルスキャンを実行しない場合は、値を65535に設定します。

  2. セレクタは、次の条件をチェックして、スキャナによって作成された.strファイルが有効であることを確認します。
    • インベントリ対象ワークステーションでスケジュールフルスキャンを実行する場合、.strファイルにフルスキャンデータとデルタスキャンデータの両方を含める必要があります。スケジュールフル.strファイルの識別セクションには、ScanTypeとしてSCHEDFULL が必要です。
    • インベントリ対象ワークステーションでデルタスキャンを実行する場合、.strファイルにインベントリスキャナオブジェクトのインスタンス2つを含める必要があります。
    • .strファイルに記録されている整数値は、.strファイルの実際の値が使用されている.strファイル名に基づいています。
    • .strファイルの実サイズは、.strファイルに記録されているサイズと同期している必要があります。

    Selectorは有効な.strファイルのみを処理します。ディレクトリに無効なファイルがある場合、セレクタはそのファイルを削除します。

  3. サーバの役割に基づいて、セレクタは\scandirディレクトリからdbdir\entmergedirディレクトリに.strファイルをコピーします。

    次の表は、セレクタがファイルをコピーするか、ファイル名を変更するディレクトリの一覧です。

    サーバ

    .strファイルをデータベースディレクトリ(dbdir)にコピー

    データベースディレクトリ(dbdir)の.strファイルの名前を変更

    エンタープライズマージディレクトリ(entmergedir)の.strファイルの名前を変更

    Leaf Server with Database (データベースが接続されているリーフサーバ)

    Yes

    --

    Yes

    Leaf Server (リーフサーバ)

    --

    --

    Yes

    Intermediate Server with Database and Inventoried Workstations (データベースとインベントリ対象ワークステーションが接続されている中間サーバ)

    Yes

    --

    Yes

    Standalone Server (スタンドアロンサーバ)

    --

    Yes

    --

    Root Server with Inventoried Workstations (インベントリ対象ワークステーションが接続されているルートサーバ)

    --

    Yes

    --

  4. セレクタは、eDirectory内の有効な.strファイルのシーケンス番号を更新します。

    セレクタは、.strファイルのシーケンス番号のスキャンが不適切な場合、強制的にフルスキャンを実行するかどうかを判断します。.strファイルが無効な場合または.strファイルのシーケンス番号に矛盾がある場合、セレクタは強制的にフルスキャンを実行します。

  5. Selectorは、ステータス情報をサーバログに記録します。詳細については、ステータスログを使ったワークステーションインベントリの監視を参照してください。

    セレクタは、\scandirディレクトリにある既存の.strファイルを削除します。