オブジェクトのコンテキストは、ツリー内でのそのオブジェクトの位置を表します。コンテキストは、NDSドメインとほぼ同じことを意味します。
次の図では、ユーザBobは部門Accountsにあり、部門Accountsは部門Financeにあり、部門Financeは組織YourCoにあることが示されています。「図 10」を参照してください。
図 10
ConsoleOneコンテナのサンプル
ただし、オブジェクトのコンテキストをeDirectoryユーティリティで表現する必要がある場合もあります。たとえば、「図 11」に示すように、Bobのワークステーションを設定するときには、名前のコンテキストを指定する必要があります。
図 11
Novell Clientの[NDS]ページ
コンテキストは、対象のオブジェクトとTreeの最上部との間に存在する各コンテナをピリオドで区切ったリストとして指定します。この例では、ユーザオブジェクトBobはコンテナAccountsにあり、コンテナAccountsはコンテナFinanceにあり、コンテナFinanceはコンテナYourCoにあります。
オブジェクトの識別名とは、オブジェクト名にコンテキストを付けたものです。たとえば、ユーザオブジェクトBobの識別名は、Bob.Accounts.Finance.YourCoです。
タイプ付きの名前が、eDirectoryユーティリティに表示されることがあります。タイプ付きの名前には、「表 17」に示すオブジェクトタイプの略語が使用されます。
表 17. eDirectoryオブジェクトタイプの略語
オブジェクトクラス | タイプ | 略語 |
---|---|---|
すべてのリーフオブジェクトクラス |
共通名 |
CN |
組織 |
組織 |
O |
部門 |
部門 |
OU |
カントリ |
カントリ |
C |
地域 |
地域または都道府県 |
LまたはS |
eDirectoryでは、タイプ付きの名前の作成に、タイプの略語、等号、およびオブジェクト名を使用します。たとえば、Bobのタイプ付きの名前は、CN=Bobとなります。Bobのタイプ付きの完全な名前は、CN=Bob.OU=Accounts.OU=Finance.O=YourCoとなります。eDirectoryユーティリティにおいて、タイプ付きの名前は、タイプなしの名前と互換性があります。
ディレクトリツリー内のオブジェクトの位置を見つけるためにeDirectoryが使用するプロセスのことを、ネームレゾリューション(名前解決)といいます。eDirectoryユーティリティでオブジェクト名を使用すると、eDirectoryは、現在のコンテキストまたはツリーの最上部を基準として名前の解決を行います。
ネットワークソフトウェアの実行時には、ワークステーションにはコンテキストが設定されます。このコンテキストによって、ネットワーク内のワークステーションの位置が相対的に指定されます。たとえば、Bobのワークステーションでは、現在のコンテキストが次のように設定されます。
Accounts.Finance.YourCo
現在のコンテキストは、先頭のピリオド、相対命名、および後続ピリオドの使用法を理解するうえで重要です。
現在のコンテキストがどこに設定されているかに関わりなく、ツリーの最上部から名前を解決するには、先頭ピリオドを使用します。次の例では、先頭ピリオドがCX(コンテキストの変更)ユーティリティに、ツリーの最上部を基準として名前を解決するよう指定しています。
CX .Finance.YourCo
eDirectoryはこのコマンドを、「ツリーの最上部から名前の解決を行い、YourCoコンテナにあるFinanceコンテナにコンテキストを変更する」と解釈します。
ワークステーションの現在のコンテキストは、YourCoコンテナにあるFinanceコンテナに変更されます。
相対命名とは、ツリーの最上部ではなく、ワークステーションの現在のコンテキストを基準に、名前を解決することを意味します。先頭ピリオドはツリーの最上部からの名前解決を表すため、相対命名の場合は先頭ピリオドを使用しません。
たとえば、ワークステーションの現在のコンテキストがFinanceに設定されているとします。「図 12」を参照してください。
図 12
ConsoleOneコンテナのサンプル
Bobの相対オブジェクト名は、次のようになります。
Bob.Accounts
eDirectoryは、この名前を「現在のコンテキストFinanceから解決されるAccountsに属するBob」と解釈します。
後続ピリオドは、相対命名でのみ使用されます。したがって、先頭ピリオドと後続ピリオドの両方を使用することはできません。後続ピリオドは、eDirectoryが名前解決を開始するコンテナを変更します。
後続ピリオド1つにつき、解決地点がツリーの上部に向かって1コンテナずつ引き上げられます。「図 13」の例は、ワークステーションの現在のコンテキストをTimminsからAllentownに変更する場合を示しています。
図 13
ConsoleOneコンテナのサンプル
この場合の適切なCXコマンドでは、次に示すように、後続ピリオドを付けた相対命名を使用します。
CX Allentown.East..
eDirectoryはこのコマンドを、「現在のコンテキストの2つ上にあるコンテナから名前の解決を行い、EastにあるAllentowにコンテキストを変更する」と解釈します。
同様に、BobがAllentownコンテナに属し、ワークステーションの現在のコンテキストがTimminsの場合、Bobの相対名は、次のようになります。
Bob.Allentown.East..
UNIXのユーザアカウントをeDirectoryに移行した場合、ユーザの命名にeDirectoryのコンテキストは使用されません。ユーザのコンテキストは、UAMコンポーネントによって決定されます。