62.1 マルチキャストの理解

イメージのマルチキャストとは、1つのワークステーションのイメージ(マスタ)を作成し、そのイメージをネットワークを介して複数のワークステーション(参加ワークステーション)にすぐに送信し、送信先のワークステーションに同時に適用することです。セッションマスタとしては、ワークステーションまたは以前に保存してカスタマイズしたイメージファイルを指定することができます。

セッションマスタとしてワークステーションを指定した場合は、そのワークステーションのハードディスクおよび他の記憶媒体(Jazドライブなど)のすべてのパーティションについてベースイメージが作成されます。

イメージを参加ワークステーションに適用する前に、それらのワークステーションのハードディスクおよび書き込み可能な記憶媒体から既存のすべてのパーティションが削除されます。

マルチキャストを正しく機能させるには、ネットワーク上のルータおよびスイッチでマルチキャスト機能を設定する必要があります。この設定を怠ると、マルチキャストパケットが正しくルーティングされない場合があります。

3.2以前のZENworks for Desktopsでは、Linuxワークステーションをマスタにする必要があったため、マルチキャストによるワークステーションの完全な「クローニング」が制限されていました。

詳細情報については、以下を参照してください。

62.1.1 イメージをマルチキャストする利点

ZENworksデスクトップ管理イメージングサービスでマルチキャストを使用すると、最小限の間接費で大量の再イメージングが可能になります。マルチキャストは、クリーンなソフトウェア設定になっているワークステーションが1台あり、その内容を他の複数のコンピュータに複製する場合や、単一のイメージを複数のコンピュータにセットアップする場合に便利です。

マルチキャスティングの使用に必要なのは、モデムルータとスイッチを備えた物理的なネットワークのみです。

各ワークステーションを実際に操作しながらマルチキャストを設定する場合は、イメージングブートCD/DVDまたはPXEが有効化されたワークステーションも必要になります。詳細については、セクション 55.0, イメージングブート方法の準備を参照してください。

イメージを作成するワークステーションは、ネットワークに物理的に接続されている必要があります。これらは既存の各種オペレーティングシステムがインストールされたワークステーションでも、オペレーティングシステムがインストールされていない新しいワークステーションでも構いません。

62.1.2 イメージのマルチキャストの制限

ZENworks Desktop Managementソフトウェアをインストールせずにマルチキャストを使用すると、一連のワークステーションのネットワークIDが重複するという重大な制限があります。IPアドレス、コンピュータ(NETBIOS)名、ワークグループメンバーシップ、およびセキュリティID (Windows 2000/XPのみ)がすべて同じになるため、変更せずにネットワークに展開するとこれらのネットワークIDが重複することがあります。

マルチキャストを行うワークステーションの数が限られていれば、問題にならない場合もあります。ただし、ワークステーションの数が多い場合、Windowsのワークステーションであればデスクトップ管理イメージングエージェントをインストールしてからマルチキャストを実行することをお勧めします(「」を参照)。マルチキャストセッションの開始前に、イメージングエージェントによってワークステーションのネットワークID設定が保存され、セッション後に復元されます。