eDirectoryオブジェクトのアーカイブや復元を行うには、アーカイブ、抽出、またはリスト表示するリーフオブジェクトまたはコンテナの完全識別名を指定します。ツリー全体をアーカイブする場合は、Treeオブジェクトを指定します。スキーマをオブジェクトとして指定することにより、スキーマのバックアップも作成できます。
ツリー全体のバックアップを作成することも、特定のコンテナから始まるツリーの一部のバックアップを作成することもできます。スキーマやスキーマ拡張もバックアップできます。
パーティション情報はバックアップできません。ツリー構造が破損している状態でデータを復元すると、すべてのデータが1つのパーティション(Treeパーティション)に復元されます。この場合、ツリーの該当する部分について、パーティションを作り直す必要があります。ツリー構造と各パーティションについてのデータを書面に記録しておいてください。
データベースのバックアップ開始位置には、ツリー構造の任意の部分を指定できます。バックアッププロセスは、ツリー内の指定位置を起点として下方向に実行され、そのツリー部分の最下位レベルまで処理が行われます。選択したコンテナがTreeの場合は、ツリー構造全体が処理されます。このため、ツリー全体のバックアップを取ることも、1つの分岐、1つのコンテナ、1つのリーフオブジェクトなどのサブセットのバックアップを取ることもできます。
eDirectoryのバックアップを取る場合、ツリー構造全体のバックアップを1つのセッションで実行することをお勧めします。eDirectoryの一部についてバックアップや復元を実行できますが、この場合は操作が複雑になります。
バックアップユーティリティを使用すると、バックアッププロセスをカスタマイズできます。特定のeDirectoryオブジェクトをバックアップセッションに含めたり、除外することができます。ツリーが複数の場所に渡っている場合には、除外または包含のオプションを使用できます。このシナリオでは、複数のWANリンクにおよぶディレクトリ全体のバックアップによって、パフォーマンスに大きな影響が現れる可能性があります。
通常、[除外]と[包含]のどちらを指定するかは、バックアップが必要なデータのサイズを、バックアップが不要なデータのサイズと比較することにより決めます。[除外]オプションと[包含]オプションを組み合わせることにより、バックアップ対象データを調整できます。
ツリー構造の一部を除く大部分をバックアップするには、[除外]オプションを使用して、バックアップ不要な部分を指定します。識別名を指定してオブジェクトを除外することも、コンテナ名を指定してサブツリーを除外することもできます。特に除外を指定しなかったものについては、バックアップに含まれます。構造の一部を除外した場合、そのコンテナの下にあるオブジェクトを包含することはできません。
ツリー構造の一部のバックアップを作成する場合は、[包含]オプションを使用して、必要なデータを指定します。識別名を指定してオブジェクトを包含することも、コンテナ名を指定してサブツリーを包含することもできます。特に包含を指定しなかったものについては、バックアップから除外されます。
コンテナ名を指定してサブツリーを包含することを指定した場合は、そのコンテナの下にあるすべてのオブジェクトがバックアップに含まれます。
通常、データベースは、週に1度バックアップを作成する必要があります。このバックアップの頻度は、ツリーの構造が変更または更新される頻度によって決まります。頻繁に変更されるツリーの場合は、ネットワーク上のすべてのサーバのフルバックアップを行うたびに、eDirectoryのバックアップを実行することをお勧めします。
重要: ツリーに大きな変更を加える場合には、その前にeDirectoryのバックアップを取ってください。
フルバックアップを行うには、ツリー構造全体が機能している、つまりすべてのパーティションが正常に同期している必要があります。パーティションのレプリカが1つでもオフラインになっていると、ツリー全体のバックアップを作成することはできません。
バックアップ作成後に消失または破損したオブジェクトについては、復元できます。バックアップからデータを復元することを、復元セッションといいます。復元セッションでは、バックアップファイルから要求されたオブジェクトを取得し、指定した位置に復元します。カスタム復元セッションの場合は、復元対象データを厳密に指定できます。復元セッションでは、オプションを組み合わせて使用することにより、柔軟性を最大限に活用できます。
データベースを完全に保護する最善の方法は、複数のサーバにあるデータベース全体のレプリカでパーティションの複製を作成することです。単一サーバネットワークの場合は、情報復元のためのレプリカを作成することができないため、データのバックアップの作成が重要になります。
データベース情報が復元されるときに、パーティションおよびレプリカを含むツリー構造の一部が存在する場合は、これらのパーティションおよびレプリカはそのまま維持されるので、ツリーのパーティションを作り直す必要はありません。
データが破損している場合は、次の一般的な手順を実行します。
破損データを削除します。
ネットワーク全体に削除が伝達されるまで少し待ちます。
割り当てる時間は、バックアップを取るデータのサイズ、ネットワークの規模、サーバ数、コンテナ数、およびユーザ数によって異なります。
データを復元します。
オブジェクトが格納されているレプリカは、サーバ上に置く必要はありません。必要に応じて、データベースで外部参照が作成されます。
外部参照とは、ローカルでサーバ上に探せないオブジェクトのポインタです。外部参照は、サーバ上にローカルで存在しないオブジェクトの認証および参照を行うために使用されます。
コンテナやオブジェクトを選択することにより、バックアップセッションの特定のサブセットを選択して、復元セッションに包含または除外することを指定できます。包含および除外の詳細については、「バックアップをカスタマイズする」を参照してください。
バックアップユーティリティを使用して、バックアップファイルの一部を復元できます。ただし、特に単一のオブジェクトやこれらのオブジェクトの選択されたグループだけが復元されたときには、バックアップからeDirectoryの一部を復元した結果が、微妙に異なることがあります。
eDirectoryの一部を復元する場合は、次に挙げる2つの問題を認識しておいてください。
オブジェクトID番号: ツリー内に存在しなくなったオブジェクトを復元すると、これらのオブジェクトには復元時に新しいID番号が割り当てられます。新しいオブジェクトによって、ファイルシステムトラスティ、プリントキューディレクトリ、ユーザメールディレクトリなどが影響を受けます。
ツリー内の既存オブジェクトの上位レベルにオブジェクトを復元すると、これらのオブジェクトには新しいID番号は割り当てられません。これらのオブジェクトの現在の属性およびプロパティ情報は、バックアップにある以前の情報により上書きされます。
他のオブジェクトに依存するオブジェクト: スキーマで、オブジェクトは特定の属性を持つよう定義されます。これらの属性の一部は、必須(値を指定する必要がある)であり、一部はオプションです。 一部のオブジェクトについては、特定の属性の値は、依存先の別のオブジェクトに対する参照になります。たとえば、キューオブジェクトのキューディレクトリ属性は、キューディレクトリへのファイルシステムを値としてとります。キューオブジェクトには、ホストサーバ属性もあり、この属性にはキューディレクトリが存在するファイルサーバを指定します。この情報はリソースの物理位置を判別するために使用されます。 オブジェクトの復元の特徴は、関連するオブジェクトのタイプおよびオブジェクトの依存物が物理エンティティ(サーバおよびボリューム)であるか論理エンティティであるかによって異なります。オブジェクトの復元に成功しても、そのオブジェクトの従属オブジェクトが先に復元されていない限り、オブジェクトが正しく動作しないことがあります。
既存のeDirectoryオブジェクトの一部を上書きして復元する場合は、注意が必要です。グループやユーザといったオブジェクトは、ツリー構造内の他のオブジェクトを参照している場合があり、このようなオブジェクトに選択式復元を行うと影響があります。
たとえば、ツリー構造の一部が破損し、一部のユーザがツリーから削除されたとします。これらのユーザをメンバーとして持つグループがあり、ユーザが削除されると、メンバーシップリストがパージされてこれらのユーザがグループから削除されますが、グループ自体はツリー構造にそのまま残ります。
選択式復元を実行した場合に、既存オブジェクトに上書きしないことを選択すると、ユーザが復元されても、グループメンバーシップリストは空のままです。ユーザをグループメンバーシップリストに手動で追加するか、または元のグループを復元する必要があります。