ディレクトリモードについて

次の目的のために、Novell Directory AgentをeDirectoryに設定できます。

SLPエージェントを1ヶ所で設定および管理する

複数のディレクトリエージェントの間でサービス情報を共有する

通信容量を確保する

ローカルモードでサポートされるすべての操作を実行する

SLPディレクトリエージェント、スコープ、およびサービスは、eDirectoryを介して設定および管理できます。このため、ネットワークへのSLPの導入と管理を担当するネットワーク管理者は、1ヶ所から管理できます。

ディレクトリエージェントは、その設定情報を格納しているディレクトリエージェントオブジェクトを使用して設定されます。SLPスコープコンテナオブジェクトは、SLPスコープを表すように設定できます。ディレクトリエージェントオブジェクトには、1つまたは複数のSLPスコープコンテナオブジェクトの名前が、完全に区別できる形で格納されています。SLPスコープコンテナオブジェクトは、ディレクトリエージェントが対象としているスコープを示しています。ディレクトリエージェントに登録されたサービスは、SLP スコープコンテナにSLPサービスオブジェクトとして格納されています。各SLP サービスオブジェクトには、該当するサービスのサービスURLと属性が設定されています。SLPサービスオブジェクトは、別のSLPスコープコンテナオブジェクトへの削除およびコピーを含めて、他のeDirectoryオブジェクトのように操作できます。

Novell Directory Agentは、eDirectoryをサービスURLおよび属性用の共通データ保管場所として利用することにより、サービス情報を共有できます。こうして、eDirectoryに格納されているデータの特長である分散、複製、同期の特性を活用できるため、ネットワーク内の各サービスエージェントがネットワーク内の各ディレクトリエージェントと直接通信する必要はありません。SLPスコープを表すSLPスコープコンテナオブジェクトは、eDirectoryの要素として設定されます。このスコープを対象として設定されたディレクトリエージェントは、登録された各サービス情報をそれぞれのローカルキャッシュに格納するとともに、各サービスURLおよびその属性をSLPサービスオブジェクトとしてSLP スコープコンテナオブジェクトに格納します。これらのディレクトリエージェントは、SLPスコープコンテナオブジェクトから取得したサービス情報を、そのローカルサービスキャッシュに格納します。ディレクトリエージェントは、共有のSLPスコープコンテナオブジェクトにサービス情報を格納し、ここからサービス情報を検索することにより、リモートサービスエージェントから登録されたサービスに対応するサービスURLおよび属性を返すことができます。

ディレクトリモードでは共通SLPスコープコンテナオブジェクトを介してサービス情報を共有することが容易になるため、サービスエージェントはそのサービスをネットワーク全体に認知させるために、各ディレクトリエージェントにサービスを登録する必要はありません。このため、設定が容易になるばかりでなく、ネットワークトラフィックも減少します。この機能を使用すると、サービスエージェントからディレクトリエージェントへの通信が、ユーザエージェントからディレクトリエージェントへの通信と同様に、ネットワーク内のローカルセグメントに限定されます。

SLPのディレクトリモードでの機能

「図 38」に示すようにNovell Client^TMは、他のLANセグメントやWANセグメントに接続するとき、ユーザエージェントを使用してSLPディレクトリエージェントに接続するか、eDirectoryに入ります。

この方法では、ルータから得られるサービス情報は使用しません。その代わり、情報のグローバル通信のためにeDirectoryを使用します。この方法では、ローカルセグメントでのサービスアップデートは、IPX^TM SAPベースのネットワークでの場合と同様に確実で動的なものです。

図 38
統合されたネットワークサービス検知機能

SLP eDirectory オブジェクト

ConsoleOne^TMを使用することにより、SLPで運用される次のeDirectoryオブジェクトを管理できます。

SLPスコープコンテナオブジェクトは、SLPスコープを表し、SLPサービスオブジェクトを格納しているコンテナです。

SLPサービスオブジェクトは、Service Location Protocolを介して検出されるネットワークサービスを表します。これらのオブジェクトには、ネットワークアドレスと属性など、ネットワークサービスに関するすべてのSLP情報が格納されています。

SLPディレクトリエージェントオブジェクトはSLPディレクトリエージェントを表します。

SLPスコープコンテナオブジェクト

SLPは、サービスの論理的な分類を定義したSLPスコープコンテナオブジェクトを使用します。ネットワーク管理者は、スコープオブジェクトを使用することにより、サービスを論理的に分類できます。分類の基準となるのは、地理的な場所、行政区画、サービスの種別など、ネットワーク上での配布や表示を制御するための管理基準です。スコープオブジェクトの主要な目的は、ネットワークサービス情報の収集と配布に関してスケールの制約を少なくすることです。

SLPスコープオブジェクトは、SLPサービス情報を格納するコンテナです。各オブジェクトには、該当するスコープに対応するすべてのSLPサービスオブジェクトが格納されています。eDirectory管理者は、コンテナの複製を同じツリーの他のパーティションまたは連結ツリーに作成できます。オブジェクトはeDirectoryツリーの中の独立したエンティティであり、識別名、ツリー名、およびスコープ名の間に関連はありません。サービスエージェントがサービスレコードをある特定のスコープに属するディレクトリエージェントに転送すると、コンテナオブジェクト内の名前属性を使用することにより、スコープ名はスコープオブジェクトにマップされます。ディレクトリエージェントのオブジェクトアクセス権はスコープオブジェクトのアクセス権と同等なので、SLPスコープオブジェクトには、コンテナの読み込み、書き込み、参照を行う権利が設定されている必要があります。スコープオブジェクトには識別名の構文が使用されているため、スコープオブジェクトは同じツリーの別の場所に移動できます。また、eDirectoryは、新しい場所に対応してすべての値を自動的に変更します。

SLPサービスオブジェクト

SLPサービスオブジェクトは、サービス登録を表すリーフオブジェクトです。SLPサービスオブジェクトは、SLPスコープオブジェクトに従属しており、サービス登録により提供されたすべての情報を格納しています。SLPサービスオブジェクトは、そのスコープに応じて適切なSLPスコープオブジェクトに格納されます。

ディレクトリエージェントオブジェクト

SLPディレクトリエージェントオブジェクトは、ディレクトリエージェントの1つのインスタンスを表すリーフオブジェクトです。複数のディレクトリエージェントが1つのオブジェクトを共有することはできません。このオブジェクトは、ディレクトリエージェントの設定、スコープ、およびセキュリティを定義します。ディレクトリエージェントはこのオブジェクトを使用してサーバにログインし、サーバオブジェクトに指定されたアクセス制御条件に従って動作します。

サーバオブジェクト

NetWareインストールプログラムにより、ツリー内のサーバごとにNCP_SERVERオブジェクトが作成されます。ディレクトリエージェントは、NCP_SERVERクラス定義にSLPディレクトリエージェントDNと呼ばれる属性を追加します。SLPディレクトリエージェントDNには、ディレクトリエージェントオブジェクトの識別名が設定されます。この属性は、サーバオブジェクトからディレクトリエージェントオブジェクトを指すポインタとして使用されます。