LINUXまたはSolarisでのバックアップサービスおよび復元サービスの使用

ndsbackupユーティリティ(コマンドラインユーティリティ)を使用すると、eDirectoryオブジェクトを、ndsbackupfileという単一ファイルにアーカイブしたり、このファイルから復元することができます。ndsbackupユーティリティの処理は、コマンドラインオプションによって制御されます。コマンドラインオプションは文字列であり、1つのファンクション文字(c、r、t、s、またはx)および0個または任意の数(使用するファンクション文字によって異なる)のファンクション修飾子(文字または数字)で構成されます。文字列には、スペースは使用できません。コマンドラインでは、ファンクション修飾子引数は、文字列に表示される対応ファンクション修飾子と同じ順序で出力されます。

eDirectoryオブジェクトのアーカイブや復元を行うには、アーカイブ、抽出、またはリスト出力するリーフオブジェクトまたはコンテナの完全識別名(FDN)を指定します。ツリー全体をアーカイブする場合は、Treeオブジェクトを指定します。スキーマをeDirectoryオブジェクトとして指定することにより、eDirectoryスキーマのバックアップを作成することもできます。

バックアップユーティリティを使用すると、バックアッププロセスをカスタマイズできます。特定のeDirectoryオブジェクトをバックアップセッションに含めたり、除外することができます。通常、[除外]と[包含]のどちらを指定するかは、バックアップが必要なデータのサイズを、バックアップが不要なデータのサイズと比較することにより決めます。[包含]オプションと[除外]オプションを組み合わせることにより、バックアップ対象データを調整できます。eDirectoryツリー構造の一部を除いて大部分をバックアップするには、[除外]オプションを使用して、バックアップ不要な部分を指定します。特に除外を指定しなかったものについては、バックアップに含まれます。構造の一部を除外した場合、そのコンテナの下にあるオブジェクトを包含することはできません。

次のセクションでは、LinuxまたはSolarisシステムでのeDirectoryオブジェクトのバックアップおよび復元について説明します。


表 131. ndsbackupパラメータ

ndsbackupパラメータ 説明

-a

アーカイブまたは復元するオブジェクトに対して管理者の権利を持つユーザの完全識別名(FDN)。

f

ファイル。ndsbackupfileの名前として、ndsbackupfile引数を使用します。指定しない場合、またはndsbackupfileの名前が「-」である場合は、ndsbackupは必要に応じて、標準出力への書き込みや標準入力からの読み込みを行います。ndsbackupは、パイプラインのヘッドにもテイルにも使用できます。

e

エラー。予期せぬエラーが発生した場合は、終了ステータスで、直ちに終了します。

R

レプリカサーバ名/IPアドレス。このオプションを指定すると、eDirectoryパーティションのレプリカを保持しているサーバを使用して、eDirectoryオブジェクトをアーカイブまたは復元できます。Rオプションを指定しないと、ローカルサーバが使用されます。

v

詳細。ファンクション文字が前に付く各eDirectoryオブジェクトの名前を出力します。tファンクションと組み合わせて使用した場合、vはndsbackupfileエントリに関する詳細を戻します。

w

対象。実行するアクションとeDirectoryオブジェクト名を出力し、ユーザの確認を待ちます。「y」を入力すると、アクションが実行されます。それ以外のキーを押すと、アクションは実行されません。このファンクション修飾子には、tファンクションを使用できません。

-I

包含。1行につき1つのeDirectoryオブジェクトをリストした包含ファイルを開き、各eDirectoryオブジェクトをコマンドラインに個別に表示されているものとして扱います。eDirectoryオブジェクトが除外ファイルと包含ファイル(または、コマンドライン上)の両方で指定されている場合、そのオブジェクトは包含されます。スペースを末尾に置かないでください。

X

除外。c、x、s、tなどのファンクションを使用するときは、ndsbackupfileから除外するeDirectoryオブジェクトのリストを含んだファイルとして、除外ファイル引数を使用します。複数のX引数を使用して、1つの引数ごとに1つの除外ファイルを指定することもできます。eDirectoryオブジェクトが除外ファイルと包含ファイル(または、コマンドライン上)の両方で指定されている場合、そのオブジェクトは包含されます。スペースを末尾に置かないでください。

NDSobject

アーカイブ(cまたはrファンクションが指定された場合)、抽出(x)、またはリスト(t)するリーフオブジェクトまたはコンテナの完全識別名(FDN)。このアクションは、そのコンテナのすべてのオブジェクトおよびサブオーディネートオブジェクト(さらにそのサブオーディネートオブジェクトにも再帰的に)に適用されます。ツリー全体をアーカイブする場合は、Treeオブジェクトを指定します。スキーマをeDirectoryオブジェクトとして指定することにより、eDirectoryスキーマのバックアップを作成することもできます。スキーマも含めてツリー全体のバックアップを作成するには、[ディレクトリのフルバックアップ]を指定します。バックアップを作成するeDirectoryオブジェクトを指定しない場合は、ndsbackupはデフォルトで[ディレクトリのフルバックアップ]オプションを使用します。


ndsbackupfileを作成する

cオプションを指定して作成ファンクションを使用すると、ndsbackupfileを作成してeDirectoryオブジェクトをアーカイブできます。書き込みは、ファイルの終わりからではなく、先頭から行なわれます。指定したndsbackupが存在する場合は、そのファイルが上書きされます。

ndsbackupfileを作成するには、次を実行します。

  1. 次の構文を使用します。

    ndsbackup c [fevwXR] [ndsbackupfile] [exclude-file] [Replica-server-name] [-a admin-user] [-I include-file]...[NDSobject]


復元用の既存オブジェクトを置換する

rオプションを指定して置換ファンクションを使用すると、名前を指定したeDirectoryオブジェクトのバックアップを指定したndsbackupfile内に作成できます。eDirectoryオブジェクトは指定したndsbackupfileに追加され、結果的に復元用の既存オブジェクトが置換されます。

復元用の既存のオブジェクトを置換するには、次を実行します。

  1. 次の構文を使用します。

    ndsbackup r [fevwXR] [ndsbackupfile] [exclude-file] [Replica-server-name] [-a admin-user] [-I include-file]...[NDSobject]


eDirectoryオブジェクトを検索する

sオプションを指定してスキャンファンクションを使用することにより、ツリー内のeDirectoryオブジェクトを検索できます。

ツリー内のeDirectoryオブジェクトを検索するには、次を実行します。

  1. 次の構文を使用します。

    ndsbackup s [eSvwXR] [exclude-file] [Replica-server-name] [-a admin-user] [-I include-file]...[NDSobject] 


ndsbackupfileからeDirectoryオブジェクトリストを取得する

tオプションを指定して目次ファンクションを使用すると、ndsbackupfileに指定したNDSオブジェクトが現れるたびにそのeDirectoryオブジェクトの名前をリストできます。引数を指定しないと、ndsbackupfileファイル内のeDirectoryオブジェクトの名前がすべて出力されます。

ndsbackupfileからeDirectoryオブジェクトのリストを取得するには、次を実行します。

  1. 次の構文を使用します。

    ndsbackup t [fevXR] [ndsbackupfile] [exclude-file] [Replica-server-name] [-a admin-user] [-I include-file]...[NDSobject]


eDirectoryオブジェクトをeDirectoryツリーに復元する

xオプションを指定して復元ファンクションを使用すると、ndsbackupfileから名前を指定したeDirectoryオブジェクトを抽出して、eDirectoryツリーに復元できます。指定したeDirectoryオブジェクトが、ndsbackupfileに書き込み済みのコンテナの内容と一致する場合は、このコンテナが再帰的に抽出されます。

eDirectoryオブジェクトをeDirectoryツリーに復元するには、次を実行します。

  1. 次の構文を使用します。

    ndsbackup x [fevwXR] [ndsbackupfile] [exclude-file] [Replica-server-name] [-a admin-user] [-I include-file]...[NDSobject]


abc_incコンテナのeDirectoryオブジェクトをアーカイブする場合

  1. 次のコマンドを入力します。

    ndsbackup cvf ndsbackupfile .O=abc_inc

ツリー内のすべてのeDirectoryオブジェクトをアーカイブする場合

  1. 次のコマンドを入力します。

    ndsbackup cvf ndsbackupfile tree_name

eDirectoryスキーマをアーカイブする場合

  1. 次のコマンドを入力します。

    ndsbackup cvf ndsbackupfile Schema

eDirectoryオブジェクトをndsbackupfileからabc_incコンテナのeDirectoryへ復元する場合

  1. 次のコマンドを入力します。

    ndsbackup xvf ndsbackupfile .O=abc_inc