次の用語を理解しておくと、ネットワーク上のライセンシングおよびライセンスユニットの保守に役立ちます。
Novell Licensing Services(NLS)---企業のニーズ(ライセンスユニットの管理およびアクセス)とソフトウェアメーカーのニーズ(ライセンシング要件の実行)に対して、バランスのとれた解決策を提供する技術であり、それを実現するソフトウェアコンポーネントです。
NLSは次のコンポーネントで構成されています。
ライセンスサービスプロバイダ(LSP)---NetWare(R)サーバ上でインストールし、実行するライセンシングソフトウェア。このソフトウェアは、NetWare 4.11以降のサーバで動作するNLSLSP.NLMプログラムに含まれています。
実際のライセンシングサービスは、ライセンスサービスプロバイダによって提供されます。ライセンスサービスプロバイダは、NLSクライアントからのリクエストを処理し、eDirectory内に保存されているライセンス許可証の保守を行います。
NetWareおよびライセンス許可証をインストールすると、NLSによって次の処理が行われます。
これら2つの作業は、NetWare Deployment Managerを使用して行うこともできます。
重要: ライセンスサービスプロバイダは、各パーティションの書き込み可能レプリカを持つサーバで動作させておく必要があります。これは、ライセンス許可証オブジェクトが保存されているパーティション、あるいは保存する予定のあるパーティションに対する要件です。パーティションにライセンス許可証が保存されていない場合、あるいは保存する予定のない場合は、サーバでライセンスサービスプロバイダを実行する必要はありません。
レプリカは、マスタレプリカまたは読み書き可能レプリカのいずれでもかまいません。ライセンスサービスプロバイダは、書き込み可能レプリカのあるライセンスサービスプロバイダと通信できれば、レプリカのない他のサーバで実行することもできます。書き込み可能レプリカのあるサーバは、レプリカのないサーバの代わりに、eDirectoryデータベースを変更します。
NLS_LSP_servername---eDirectory内のオブジェクトの1つです。
ツリー内にこのオブジェクトが存在するということは、サーバ上で動作するようにNLSが設定されており、サーバがライセンスサービスプロバイダであることを示しています。
NetWareサーバインストールソフトウェアとNetWare Deployment Managerの両方により、サーバ上にライセンスサーバプロバイダソフトウェアがインストールされ、対応するライセンスサーバプロバイダオブジェクト(NLS_LSP_servername)がeDirectoryツリー内に作成されます。
ライセンスサービスプロバイダオブジェクトは、ライセンスサービスプロバイダソフトウェア(NLSLSP.NLM)を実行しているサーバと同じコンテキストに作成されます。ライセンスサービスプロバイダオブジェクトには、サーバ上で動作しているライセンスサービスプロバイダに関する設定情報が格納されます。設定情報には、トランザクションデータベース名、ライセンス許可証の検索方法に関する情報(パーティションのルートまで検索するか、ツリーのルートまで検索するか)、非ライセンスアクセスおよびサービスの問題に関する通知、およびその他の関連データが含まれます。
NLSにより、NCPサーバオブジェクトに関する属性が追加されます。この属性は、ライセンスサービスプロバイダを参照するポインタです。これによりNCPTMサーバオブジェクトおよびライセンスサービスプロバイダとの間のリンクがNLSに提供されます。
NLSクライアント---ライセンスサービスプロバイダからライセンシングサービスを要求するソフトウェア。
NLSクライアントは、クライアントワークステーションおよびNetWareサーバで動作します(クライアントは、ワークステーションまたはサーバ、あるいはその両方で動作させることができます)。このソフトウェアは32ビットWindows*およびNetWare Loadable ModuleTM(NLMTM)のプラットフォームをサポートしています。NLSをサーバにインストールすると、アプリケーションがNLSを使用するのに必要なすべてのファイルが、サーバ上のSYS:\PUBLICディレクトリおよびSYS:\SYSTEMディレクトリにコピーされます。
クライアントワークステーションには、クライアントソフトウェア以外のファイルをインストールする必要はありません。NLSを使用するように作成されているアプリケーションにより、NetWareサーバ上で動作するNLSコンポーネントと通信するためのクライアントライブラリがロードされます。
32ビットWindowsのNLSクライアントに、ライセンスサービスプロバイダを実行しているNetWareサーバへの既存の接続があれば、クライアントはライセンスサービスプロバイダと直接通信できます。クライアントにライセンスサービスプロバイダを実行しているサーバへの既存の接続がなければ、 クライアントは、サーバのコンテキストから開始してeDirectoryツリーの上位方向へ、ライセンスサービスプロバイダを探します。
NLMクライアントはこの検索を行わず、単純に現在の接続を調べます。
詳細については、「NLSクライアントの例」を参照してください。
ライセンスユニット---ライセンス許可証のコンポーネントの1つ。
製品を購入するということは、その製品に対する1つまたは複数のライセンスユニットを購入することを意味します。たとえば、Novell BorderManagerTM Firewall Services 3用の100ユーザライセンスには、BorderManagerサービスへのアクセスを100ユーザに許可する、100件のライセンスユニットが含まれています。
NLSは、インストールされたライセンス許可証オブジェクトから取得できるデジタルライセンスユニットをサポートしています。NLSは、ZENworksTM機能を介して管理されるメータライセンス許可証もサポートしています。
ライセンス許可証は、ファイルからインストールします。一般的なファイル名拡張子は次のとおりです。
重要: ライセンスユニットまたはライセンス許可証は、ライセンスではありません。ライセンスの内容は、使用許諾書に記述されています。NLSは、ユーザがこの製品を使用許諾書に記述された範囲内で使用できるよう補助しますが、本来、ユーザ自身がソフトウェア使用許諾書に従うよう義務付けられています。
ライセンス許可証オブジェクト---eDirectory内のオブジェクトの1つ。ライセンス許可証を表します。
ライセンス許可証は、通常はソフトウェア製品のパッケージに含まれる印刷された使用許諾書に対応するものです。ライセンス許可証オブジェクトのアイコンは、ライセンス許可証を表す1枚の紙のような外観です。iManageでオブジェクトを表示すると、通常は、シリアル番号または許可証名が次のように表示されます。
許可証にはセキュリティ保護されているものとセキュリティ保護されていないものがあります。
NLS対応のアプリケーション用にライセンス許可証をインストールするか、メータ許可証を作成すると、NLSによりライセンス許可証オブジェクトが作成されます。
ライセンス許可証をインストールまたは作成する際に、このオブジェクトのコンテキスト(eDirectoryツリー内の場所)を選択します。
ライセンス許可証はポリシーを含み、ポリシーマネージャによって管理されます。
起動キー---一連の数値と文字。購入した製品のライセンス許可証のインストールを完了させるために使用します。
すべてのライセンス許可証には起動キーが必要です。起動キーは通常、ソフトウェアベンダにより許可証とともに.KEYファイルに格納されています。この組み合わせにより、インストール時に起動キーが自動的にインストールされます。ただし、インストールプログラムが起動キーを検出できない場合は、手動で入力するように求めるプロンプトが表示されます。
パック---1つまたは複数の許可証を含む.NLFファイル。複数のライセンス許可証をパッケージ化して単一ファイルとして配布するのに便利な方法です。
1つのパックに複数のライセンス許可証を含めることができるので、パックを使用すると一度に複数のライセンス許可証をインストールできます。パックには、ライセンス許可証の埋め込みの起動キーを格納することができます。
例では、パックのファイル名は4234171D.NLFです。
ライセンスコンテナオブジェクト---eDirectory内のオブジェクトの1つ。1つまたは複数のライセンス許可証を格納します。
ライセンスコンテナオブジェクトは、eDirectory内にある特殊なコンテナオブジェクトです(その他のコンテナオブジェクトには、[Root]またはツリー、国、組織、部門などがあります)。
ライセンスコンテナオブジェクトの名前には、発行者、製品、およびバージョンが使用されます。たとえば、Corel* WordPerfect*バージョン9はツリー内で次のように表示されます。
ライセンス許可証をインストールするか、メータ許可証を作成すると、NLSによりライセンスコンテナオブジェクトおよびライセンス許可証オブジェクトが作成されます(ライセンスコンテナがすでに存在する場合は、追加されたライセンス許可証は既存のコンテナに保存されます)。
iManageを使用すると、eDirectoryツリーと同じ形態でライセンスコンテナオブジェクトを表示できます。
ライセンスモデル---ソフトウェアベンダが、ライセンスした製品の使用を顧客に許可する形態。
NLSでは、多くのライセンスモデルをサポートできます。次に例を示します。
ご使用の製品に対応するライセンスモデルについては、製品固有のドキュメントを参照してください。
ポリシー---使用許諾書の条件を電子ファイル内に表現したもの。ポリシーは、ライセンス許可証に含まれています。たとえば、企業用の許可証には、次のようなポリシーのタグを含めることができます。
ポリシーは、ライセンシングサービスではなく、ライセンス許可証およびポリシーマネージャに関連付けられます。ライセンス許可証を変更する(または置き換える)だけで、ポリシーは柔軟に利用できます。
ポリシーマネージャ(ゲートキーパー)---ライセンシングサービスからのリクエストに基づいて意思決定を行うコード。
ポリシーマネージャの特長は次のとおりです。
NLS対応の各製品には、独自のポリシーマネージャがあります。NetWareのポリシーマネージャは、BorderManagerのポリシーマネージャとは異なります。これらのポリシーマネージャはともに、サードパーティのソフトウェアメーカーのアプリケーションのポリシーマネージャとも異なります。
各アプリケーションまたはサービスは異なるポリシーをサポートするので、ネットワーク上で多数のポリシーマネージャが動作する可能性があります。
通知---ライセンシングサービスに関する情報や、使用許諾書の条項への適合に関する問題を知らせるメッセージ。
システム警告 次のいずれかが発生した場合、通知が、指定された人に送信されます。
契約不適合 通知は、使用許諾書の条項に対して企業が契約不適合である場合に、指定の人に送られます。
デフォルトでは、ライセンス許可証をインストールした人が送信先になります。通知を受け取るオブジェクトは修正(変更、削除、追加)できます。複数のネットワークユーザまたはグループが通知を受け取ることもできます。
通知は、NetWare Broadcastユーティリティおよび(オプションで)SNMPを介して送信されます。
非ライセンスアクセス---購入したライセンスユニット数を越えて使用できるライセンスユニット数。
ソフトウェアメーカーは、ライセンス許可証で非ライセンスアクセスを許可できます(猶予条件)。この機能によりユーザは、必要なライセンス許可証を追加購入してインストールするまでの間、製品を続行して使用できます。
注: 非ライセンスアクセスにより、ライセンスが付与されるわけではありません。製品の使用条件は、使用許諾書の条項に規定されています。
製品の非ライセンスアクセスの扱い方法については、製品固有のドキュメントを参照してください。
使用停止---ライセンス許可証オプション内のポリシーの1つ。
注: NLSはサービスです。製品の使用方法は、使用許諾書の条項で決定されます。
Windows 2000ワークステーションで、NLS対応アプリケーションであるOptionsPlusを使用します。OptionsPlusのアイコンをクリックすると、クライアントワークステーションにアプリケーションがロードされます。
OptionsPlusはライセンスユニットを要求します。NLSコンポーネント(OptionsPlusソフトウェアにリンクされている.DLLファイル)が、ライセンスサービスプロバイダ(サーバ上で動作しているNLSコンポーネント)を検出します。ライセンスサービスプロバイダは、使用可能なライセンスユニットのあるライセンス許可証オブジェクトをeDirectoryから検索します。
ライセンスサービスプロバイダは、OptionsPlus中のNLSクライアントに応答して、アプリケーションの使用を許可します。
サーバを起動すると、NetWareはNLSシステムの2つの重要なコンポーネントである、eDirectoryおよびライセンスサービスプロバイダをロードして実行します。
起動が完了する前に、NetWareのポリシーマネージャはNLSクライアントソフトウェア(NLS用NLMライブラリ)を使用して、ライセンスサービスプロバイダからサーバベースライセンスを要求します。
ライセンスサービスプロバイダは、eDirectoryにライセンス許可証を問い合わせます。使用可能なライセンスユニットがあれば、ライセンスサービスプロバイダはポリシーマネージャに対してリクエストを承認し、NetWareサーバの実行を許可します。
NLS自体はライセンスを強制するのではなく、ライセンスユニットをチェックアウトするか、適切なエラー状態をアプリケーションに返します。アプリケーションのポリシーマネージャ部分により、ユーザがアプリケーションを使用できるかどうか、またはエラー状態の報告方法が決定されます。
クライアントワークステーションが、NLS対応でないアプリケーションを要求します。NLSに統合されているZENworksが、アプリケーションの代わりにライセンスユニットを要求します。
NLSからの応答により、ZENworksのApplication Launcherはアプリケーションをロードするかどうかを選択します。そのため、Application Launcherは、NLS対応でないアプリケーションに対してライセンスユニットを要求するように設定できます。