トランザクショントラッキングシステムの使用

NetWareは、TTSTM (Transaction Tracking SystemTM)というトランザクション監視機能を備えています。ファイルにトランザクションのフラグを設定すると、TTSでは、不完全なトランザクションをバックアウトし、バックアウトデータのレコードを保持することで、ファイル内のレコードの破損を防ぎます。

注:  トランザクションのフラグが設定されたファイルを、削除したり名前を変更することはできません。

TTSは、ファイルの切り捨てや拡張、および1回のトランザクションで同じデータ領域に対して行われる複数の変更もバックアウトできます。また、トランザクションのバックアウト中にNetWareサーバに障害が発生した場合、割り込みを受けたバックアウトをバックアウトすることもできます。

ただし、TTSは、レコードロックコールを発行するアプリケーションや、情報をレコードに格納するアプリケーションにおいて発生するこのような障害を保護することはできません。これらのアプリケーションには、従来のデータベース、一部の電子メールアプリケーション、一部のワークグループアポイントスケジューラなどが含まれます。

ワードプロセッシングファイルのように、個別のレコードで構成されないファイルは、TTSによって保護されません。

次の状況に該当する場合は、ネットワーク上のトランザクションは正しく保存されません。

サーバで障害が発生し、ファイルにトランザクションのフラグが設定されている場合は、サーバが再起動したときに、TTSはトランザクションをバックアウトします。ワークステーションやネットワークの伝送コンポーネントに障害が発生した場合は、TTSは直ちにトランザクションをバックアウトします。


TTSの機能

トランザクショントラッキングシステム(TTS)は、不完全なトランザクションをバックアウトし、バックアウトデータのレコードを保持することで、データの破損を防ぎます。

TTSによって、データベースファイルへのすべての変更は、完全に適用されるか、またはまったく適用されません。TTSでは、次の手順でトランザクションをトラッキングします。

  1. アプリケーションが物理または論理レコードロックを割り当てると、TTSではアプリケーションがトランザクションを開始したと判断します。ファイルにトランザクションのフラグが設定されている場合は、この時点で、障害が発生してもトランザクションをバックアウトできるように、TTSはトランザクションのトラッキングを開始します。
  2. トランザクションに障害が発生してもデータを復元できるように、TTSはオリジナルデータのコピーを作成します。データのコピーは、データベースとは別のファイルに配置されます。この外部ファイルには、すべてのトランザクションバックアウト情報が含まれ、オペレーティングシステムだけがこのファイルを使用します。
  3. オリジナルデータのコピーがバックアウトファイルに書き込まれると、TTSは変更されたデータをデータベースファイルに書き込みます。
  4. TTSでは、追加の変更に対して手順2と手順3を繰り返します(一連の変更で1回のトランザクションを構成できます)。
  5. すべての変更データがディスクに書き込まれ、データアプリケーションが物理および論理レコードロックを解放すると、TTSでは、アプリケーションがトランザクションを完了したと判断します。TTSは、トランザクションが完了したことを表すレコードをバックアウトファイルに書き込み、トランザクションのトラッキングを停止します。

TTSを有効およびアクティブにする方法については、「TTSを有効およびアクティブにする」を参照してください。


TTSを有効およびアクティブにする

NetWare 6のTTSには次の3つの状態があります。

無効な状態と非アクティブな状態は、TTS操作が作用しないという点で似ています。アクティブな状態の場合のみ、TTS操作は作用します。

1つのファイルシステムにのみ、アクティブTTSが適用されます。このため、サーバでNNS (Novell Storage Service)ファイルシステムと従来のファイルシステムの両方が使用されている場合は、次の点に注意してください。

次のいずれかの条件が該当する場合、TTSは自動的に無効になります。

TTSが無効であり、無効となった原因を解決できた場合は、システムコンソールプロンプトで次のいずれかのコマンドを入力して、TTSを再び有効にします。

従来のボリューム上のファイルごとにトランザクショントラッキングを有効にしたり、これを管理するには、次の表に示すコマンドとパラメータを使用します。

目的 操作

ファイルのトランザクショントラッキングを有効にする。

NetWare Remote Managerを使って、ファイルにトランザクションのフラグを設定します。詳細については、『NetWare Remote Manager管理ガイド』の「個別のファイルの表示」を参照してください。

トランザクションのフラグが設定されたファイルを、削除したり名前を変更することはできません。

TTSを有効にして、確認のメッセージを表示せずにトランザクションをバックアウトする。

STARTUP.NCFファイルに次のコマンドを指定して、サーバを再起動します。

SET AUTO TTS BACKOUT FLAG = ON

このパラメータがOn (デフォルト)の場合、バックアウトは自動的に発生します。

このパラメータがOffの場合、ファイルのバックアウトを確認するメッセージが表示されます。

[NetWare Remote Manager]>[Set Parameters]>[Traditional File System]の順に選択して、パラメータを設定することもできます。

バックアウトデータをSYS:TTS$LOG.ERRファイルに記録する。

システムコンソールプロンプトで、次のコマンドを実行します。

SET TTS ABORT DUMP FLAG = ON

このパラメータがOnの場合、トランザクションはSYS:TTS$LOG.ERRに格納されます。

このパラメータがOffの場合、トランザクションはバックアウトされますが、バックアウトの記録は残りません。

[NetWare Remote Manager]>[Set Parameters]>[Traditional File System]の順に選択して、パラメータを設定することもできます。



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