ZENworks 7 Desktop Managementでは、スキャナを使用して、Windowsインベントリ対象ワークステーションのハードウェアおよびソフトウェアの情報を収集します。
スキャナは、フロッピーディスクドライブ、ハードディスクドライブ、BIOS、バス、マウス、キーボード、ディスプレイアダプタ、ネットワークアダプタカード、モデム、Jazドライブ、Zipドライブ、サウンドカード、メモリカード、シリアルポート、パラレルポート、およびプロセッサなどのハードウェアの詳細を収集します。ソフトウェアスキャンでは、インベントリ対象ワークステーションのアプリケーションを確認し、ベンダ名、製品名、バージョンなど、スキャンするソフトウェアに関する情報のレポートを作成します。
次の節では、インベントリスキャナの詳細について説明します。
スキャンするハードウェアおよびソフトウェア情報はカスタマイズすることができます。詳細については、セクション 76.2, スキャンするハードウェアインベントリ情報のカスタマイズおよびセクション 76.3, ZENworks 7インベントリ対象ワークステーションでスキャンされるソフトウェアインベントリ情報のカスタマイズを参照してください。
次の種類のスキャンを実行できます。
フルスキャン: スキャナは、インベントリ対象ワークステーションの完全なスキャンを強制的に実行します。この設定は、インベントリ対象ワークステーションに関連付けられたインベントリサービスオブジェクトのプロパティページで設定したオプションよりも優先されます。初めてインベントリ対象ワークステーションをスキャンするとき、スキャナはインベントリ対象ワークステーションのすべてのハードウェアインベントリとソフトウェアインベントリを収集します。
デルタスキャン: インベントリ対象ワークステーションがスキャンされた後、次回のスキャン以降は現在のインベントリ情報と保持されている履歴データが比較されます。インベントリ対象ワークステーションが変更されている場合は、スキャンデータのデルタがレポートされます。このデルタスキャンデータには、最後にスキャンがレポートされてからインベントリに加えられた変更点のみが含まれます。インベントリ対象ワークステーションの最初のスキャンに引き続いて実行される各スキャンでは、このデルタスキャンがデフォルトで実行されます。
スケジュールフルスキャン: スキャナは、デルタスキャンを指定回数実行した後で、ワークステーションインベントリポリシーに関連付けられたインベントリ対象ワークステーションのフルスキャンを強制的に実行します。スケジュールフルスキャンでは、ワークステーションインベントリポリシー設定に基づいて、フルおよびデルタのインベントリ情報を収集します。デフォルトでは、デルタスキャンが5回実行された後に、スケジュールフルスキャンが1回実行されます。
インベントリ対象ワークステーション上で、ハードウェアインベントリ情報がスキャンされるソースを次に示します。
インベントリスキャナによって収集されるハードウェア情報の詳細については、セクション M.0, インベントリスキャナで収集されるハードウェア情報を参照してください。
インベントリ対象ワークステーション(Windows 98、Windows 2000、およびWindows XP)をスキャンするスキャナは、業界標準のDMI規格2.0に準拠するスキャンも実行します。これらのプログラムは、DMIのMI (Management Interface)を使用して、インベントリ対象ワークステーションにインストールされているハードウェアコンポーネントを調べます。スキャナは、DMIによって、インベントリ対象ワークステーションに搭載されている特定のコンポーネントをスキャンします。スキャナは、DMIサービス層に照会して、この情報を取得します。
MIによって、DMI準拠のスキャナはサービス層内のサービスプロバイダを探索できます。サービスプロバイダは、管理可能なコンポーネントから情報を収集し、管理情報フォーマットデータベースに保存します。CI (Component Interface)は、管理可能なコンポーネントおよびサービス層と通信します。次の図は、スキャナとDMIとのやり取りを示しています。
DMI規格の詳細については、DMTFのWebサイトを参照してください。
メモ:インベントリ対象ワークステーションがDMIに準拠している場合、またはワークステーションインベントリポリシーの[DMIスキャンを有効にする]チェックボックスが選択されている場合、スキャナはDMIサービス層に照会してハードウェア情報を収集します。それ以外の場合、スキャナはハードウェアを探索します。
DMIを搭載し、ベンダによって提供されたDMIコンポーネントをインストールすることをお勧めします。
たとえば、Compaq* Family Deskpro* EN Model-SFF6500ワークステーションでWindows 98を実行している場合、CompaqのWebサイトからManagement Productソフトウェア(Windows 98用Compaq Insight Management Desktop Agentsソフトウェア)をダウンロードします。
Dell*ワークステーションの場合は、DellのWebサイトからDM/Desktop Management Utilitiesソフトウェアをダウンロードします。
スキャナは、Microsoft Windows Management Instrumentation (WMI)仕様に基づいてWindowsインベントリ対象ワークステーションのハードウェア情報を収集します。
WMIは、企業環境で管理情報へのアクセスを可能にするWBEM(Web-Based Enterprise Management)をMicrosoftが実装したものです。WMI 1.5は、業界標準であるCIM (Common Information Model)スキーマに完全に準拠しています。詳細については、Microsoft WMIのWebサイトを参照してください。WMIは、DMIおよびSNMPなど、既存の管理規格にも対応しています。
スキャナは、WMIを使用してインベントリ対象ワークステーションにインストールされているハードウェアコンポーネントを調べます。WMIを使用してインベントリ対象ワークステーションに搭載されている特定のコンポーネントもスキャンします。
WMI準拠のスキャナは、Windows 98、Windows XP、およびWindows 2000インベントリ対象ワークステーションでのみサポートされています。
ワークステーションインベントリで、インベントリ対象ワークステーションのWMI情報を表示できます。
インベントリ対象ワークステーションからWMI情報を取得するには、最初にMicrosoft WMIのWebサイトからMicrosoftのWindows Management Instrumentation - Core Software Installationをダウンロードし、次にWMI Core SoftwareをWindows 98ワークステーションにインストールします。
重要:インベントリ対象ワークステーションにWMIをインストールするには、WMI Core Software Installationのみをダウンロードします。WMIに関連する問題は、ダウンロードしたWMI SDKを使用してトラブルシューティングを行うことができます。Windows 2000/XPワークステーションには、既にWMI Core Softwareがインストールされています。
デフォルトでは、DMIスキャンとWMIスキャンはいずれも有効です。DMIスキャンまたはWMIスキャンのいずれかを無効にするには、インベントリポリシーのウィンドウで
または チェックボックスをオフにします。プローブは、インベントリスキャナに組み込まれている特別なアルゴリズムです。ハードウェア情報を収集するために使用されます。
インベントリスキャナは、Windowsインベントリ対象ワークステーションで次のソフトウェアインベントリ情報をスキャンします。
スキャナは、インベントリ対象のワークステーション上の次のソースから、ソフトウェア情報を収集します。
MSI: Microsoft Installerを使用してインベントリ対象ワークステーションにインストールされたソフトウェアを含みます。
プログラムの追加と削除: これには、[プログラムの追加と削除]ウィンドウに表示されるソフトウェアが含まれます。
ディクショナリベースのスキャン: これには、ソフトウェアディクショナリルールに基づいて収集されるソフトウェアが含まれます。詳細については、セクション 76.3, ZENworks 7インベントリ対象ワークステーションでスキャンされるソフトウェアインベントリ情報のカスタマイズを参照してください。
プローブ: プローブは、インベントリスキャナに組み込まれている特別なアルゴリズムです。ソフトウェア情報の収集に使用されます。対象となるソフトウェアには、Windowsオペレーティングシステム、Internet Explorer、Media Player、Outlook* Express、Microsoft Officeとそのインストール済みコンポーネント、Novell Client™とそのインストール済みコンポーネント、およびZENworksスイートとそのインストール済みコンポーネントがあります。
次の表は、スキャナがそれぞれのソースから収集するソフトウェア情報を示します。
表 74-2 インベントリスキャナで収集されるソフトウェア情報
Scannerは、ソフトウェアディクショナリエディタで設定されているファイル拡張子について、ディスクの使用状況に関する情報を収集します。詳細については、セクション 76.3, ZENworks 7インベントリ対象ワークステーションでスキャンされるソフトウェアインベントリ情報のカスタマイズを参照してください。
スキャナは、ディクショナリエントリと一致するファイル、およびソフトウェアディクショナリルールを使用して設定された不明なソフトウェアのリストに含まれているファイルについて、一定の情報をレポートします。詳細については、セクション 76.3.10, ソフトウェアディクショナリのルールの設定を参照してください。
Scannerがレポートするファイル属性は、FileName、FileSize、LastModifiedTime、InternalName、FileVersion、ProductName、ProductVersion、CompanyName、Language、DirectoryPath、およびSoftwareDictionaryIDです。
スキャナは、次の製品バージョンに関して、インベントリ対象ワークステーションにインストールされている最新のウィルス定義の日付とバージョンについて情報を収集します。
表 74-3 インベントリスキャナのログファイルの場所および簡単な説明