76.2 スキャンするハードウェアインベントリ情報のカスタマイズ

この節では、インベントリ情報をカスタマイズする方法について説明します。

76.2.1 インベントリ対象ワークステーションのハードウェアインベントリスキャンのカスタマイズ

ZENworks 7 Desktop Managementを使って、デフォルトのハードウェアインベントリに含まれていない情報をインベントリ対象ワークステーションから収集することができます。

デフォルトのインベントリに含まれていない情報をインベントリ対象ワークステーションから収集するには、インベントリクラスに対して属性およびそれに対応する値を定義する必要があります。各インベントリクラスにはデフォルトで、標準属性と呼ばれる独自の属性と、標準属性値と呼ばれる標準属性に対応する値が設定されています。インベントリスキャナは、クラスの標準属性の値に加えて、ユーザ定義属性(カスタム属性と呼ばれる)およびそれに対応する値をインベントリデータベースに保存します。このプロセスは、カスタムハードウェアインベントリスキャンと呼ばれます。

たとえば、Rateという名前のカスタム属性をProcessorテーブルに追加することができます。インベントリスキャナは、プロセッサの種類などの標準属性値のスキャンを実行し、インベントリデータベースにRateおよびProcessor Typeの値を保存します。

次の表は、インベントリクラスおよび標準属性のリストを示しています。

メモ:次の表で*が記載されている項目は、値をバイト単位で指定する必要があることを示しています。+が記載されている項目は、その属性に対して列挙値を指定する必要があることを示しています。列挙値の詳細については、セクション O.0, 列挙値を参照してください。

表 76-1 インベントリクラスおよび標準属性のリスト

[カスタム属性エディタ]ダイアログボックスに表示されるインベントリクラス名

インベントリデータベースのインベントリクラス名

標準属性

Asset

Zenworks.SystemInfo

Description、Caption、AssetTag、Model、ModelNumber、SystemIdentifier、ManagementTechnology、Serial Number、およびTag +

MAC Address

CIM.LANEndpoint

MAC Address

IP Address

CIM.IPProtocolEndpoint

Address、SubnetMask

IPXアドレス

CIM.IPXProtocolEndpoint

Address

Modem

Zenworks.ZENPOTSModem

Description、Name、ProviderName、DeviceID

ネットワークアダプタ(Network Adapter)

Zenworks.ZENNetworkAdapter

MaxSpeed*、Name、PermanentAddress、AdapterType、ProviderName、MACAddress

ネットワークアダプタドライバ(Network Adapter Driver)

Zenworks.NetworkAdapterDriver

Description、Name、Version

NetWareクライアント(NetWare Client)

Zenworks.NetwareClient

Version

プロセッサ

CIM.Processor

stepping、DeviceID、Family+、OtherFamilyDescription、MaxClockSpeed*、CurrentClockSpeed*、Role+、UpgradeMethod+、Description、Name

BIOS

Zenworks.BIOS

Manufacturer、InstallDate、BIOSIDBytes、Caption、SerialNumber、Version、PrimaryBios+、size*

Bus

Zenworks.Bus

BusType+、Name、Description、Version、DeviceID

IRQ

CIM.IRQ

IRQNumber、Availability+、TriggerType+、Shareable+

KeyBoard

Zenworks.ZENKeyboard

Layout、SubType、Description、NumberOfFunctionKeys、Delay*、TypeMaticRate*

ディスプレイアダプタ(Display Adapter)

Zenworks.VideoAdapter

NumberOfColorPlanes、CurrentHorizontalResolution、CurrentVerticalResolution、VideoArchitecture+、VideoMemoryType+、MaxMemorySupported*、CurrentBitsPerPixel、Description、MaxRefreshRate*、MinRefreshRate*、DACType、ChipSet、ProviderName

ディスプレイドライバ(Display Driver)

CIM.VideoBIOSElement

Manufacturer、Version、InstallDate、IsShadowed+

Parallel Port

Zenworks.ParallelPort

Name、DMASupport+、Address

Serial Port

Zenworks.SerialPort

Name、Address

Diskette Drive

Zenworks.ExtendedDisketteDrive

DisketteDeviceID、DisketteManufacture、DisketteDescription、DiskettePhysicalCylinders、DiskettePhysicalHeads、DisketteSectorsPerTrack、DisketteCapacity*

CDROM

Zenworks.ExtendedCDROMDrive

CDROMDeviceID、CDROMManufacturer、CDROMDescription、CDROMCaption

Physical Disk Drive

Zenworks.ExtendedDiskDrive

DiskRemovable+、DiskManufacturer、DiskDescription、DiskPhysicalCylinders、DiskPhysicalHeads、DiskSectorsPerTrack、DiskCapacity*

Logical Disk Drive

CIM.LocalFileSystem

Name、FileSystemType、FileSystemSize*、AvailableSpace*

Windows Operating System

Zenworks.WinOperatingSystem

OSType+、Version、CodePage、InstallDate、SizeStoredInPagingFiles*、Caption、OtherTypeDescription、TotalVirtualMemorySize*、TotalVisibleMemorySize*(バイト単位で値を指定)、Role+

Multimedia Card

Zenworks.SoundAdapter

Description、Name、ProviderName

Cache Memory

Zenworks.ExtendedCacheMemory

CacheMemoryLevel+、CacheMemoryWritePolicy+、CacheMemoryErrorMethodology、CacheMemoryCacheType+、CacheMemoryLineSize*、CacheMemoryReplacementPolicy+、CacheMemoryReadPolicy+、CacheMemoryAssociativity+、CacheMemorySpeed*、CacheMemoryCapacity*

Mother Board

Zenworks.MotherBoard

Version、Description、NumberOfSlots、Manufacturer

Battery

CIM.Battery

Name、Chemistry+、DesignCapacity*、DesignVoltage*、SmartBatteryVersion

Power Supply

CIM.PowerSupply

Description、TotalOutputPower*

DMA

CIM.DMA

DMAChannel、Description、Availability+、BurstMode+

Computer System Information

CIM.UnitaryComputerSystem

Name、PrimaryOwnerContactID、PrimaryOwnerName

ポインティングデバイス(Pointing Device)

CIM.PointingDevice

PointingType+、Name、NumberOfButtons

ポインティングデバイスドライバ(Pointing Device Driver)

Zenworks.PointingDeviceDeviceDriver

Name、Version

Slot

Zenworks.ExtendedSlot

SlotDescription、SlotMaxDataWidth、SlotThermalRating*

Monitor

Zenworks.ZENDesktopMonitor

DeviceID、Description、ManufacturerDate、ModelID、ViewableSize、NominalSize、SerialNumber、Manufacturer、Model

System Chassis

ZENworks.ZENChassis

ChassisType(+)、Manufacturer、SerialNumber、AssetTag,Version、NumberOfPowerCords、Tag

カスタムスキャンの実行に必要な作業に関する詳細については、次の節を参照してください。

カスタム属性の追加

インベントリクラスにカスタム属性を追加するには

  1. [ワークステーションインベントリポリシー]の[ハードウェアスキャン]タブをクリックします。

  2. [カスタムスキャンを有効にする]を選択します。

  3. [カスタム属性エディタ]をクリックします。

  4. [カスタム属性エディタ]ダイアログボックスの[追加]をクリックします。

  5. [クラス名]ドロップダウンリストから、カスタム属性を追加するクラスを選択します。例:プロセッサ。

  6. [属性名]フィールドにカスタム属性名を入力します。例:Rate。

    メモ:Oracleインベントリデータベースでカスタム属性を使用する場合は、カスタム属性名を10文字未満にする必要があります。

  7. [OK]をクリックします。

    1つのクラスに対して複数のカスタム属性を追加することができます。

  8. [OK]をクリックし、[適用]をクリックし、[OK]をクリックします。

custom.iniファイルを使ったカスタム属性値の追加

カスタム属性に値を追加するには、custom.iniファイルを作成する必要があります。管理者は、カスタム属性を追加できるインベントリクラスのリストを通知する必要があります。インベントリスキャナはcustom.iniファイルを使用して、カスタム属性およびそれに対応する値に関する情報を取得します。

custom.iniファイルの内容は次のとおりです。

[START_CIM_OBJECT]
Class = Inventory_Class_Name_as_displayed_in_the_Custom_Attribute_Editor_dialogbox or Inventory_Class_Name_in_Inventory_database
RegularAttrs = regular_attribute_name1, regular_attribute_name2, ..., regular_attribute_nameN
RegularVals = regular_attribute_value1, regular_attribute_value2, ..., regular_attribute_valueN
Action = A/D
custom_attribute = custom_attribute_value
custom_attribute = custom_attribute_value
...
...
custom_attribute = custom_attribute_value
[END_CIM_OBJECT]

Classは、定義済みのインベントリクラス名です(定義済みのインベントリクラス名のリストについては、インベントリクラス名および標準属性に関する表を参照してください)。RegularAttrsは標準属性名のリストを示します。RegularValsは、標準属性に対応する値です。Actionの値Aは、指定したカスタム属性がデータベーステーブルに追加されることを示します。Actionの値Dは、指定したカスタム属性がデータベーステーブルから削除されることを示します。

セミコロン(;)の後にコメントを入力できます。スキャナは、セミコロンの後にくるデータを無視します。

custom.iniファイルの[START_CIM_OBJECT]と[END_CIM_OBJECT]の間に含まれる内容を“セクション”と呼びます。セクション内の最初の3行を照会と呼びます。

1つの標準属性に対して1つの値、1つのカスタム属性に対して1つの値が設定されたcustom.iniのサンプルファイルを次に示します。

[START_CIM_OBJECT]
Class = Computer System Information       ;Inventory class name
RegularAttrs = Name                  ;Regular attribute name
RegularVals =  John                   ;Regular attribute value
Action = A
Employee Number=BLR_5000234    ;Custom attribute and its value
[END_CIM_OBJECT]

前に示した照会では、Name属性の値がJohnの場合、その従業員番号がCIM.UnitaryComputerSystemテーブルに追加されます。

次に示す方法のいずれかを使用して、custom.iniファイルを作成することができます。

  • テキストエディタを使用して、custom.iniファイルを作成し、インベントリ対象ワークステーションのwindows_installation_drive/zenworksディレクトリに保存します。
  • 自動的にcustom.iniファイルを生成して、インベントリ対象ワークステーションのwindows_installation_drive/zenworksディレクトリに保存するアプリケーションを開発します。インベントリ対象ワークステーションのwindows_installation_drive/zenworksディレクトリにアプリケーションを保存する必要があります。

    アプリケーションを開発した後、[ワークステーションインベントリポリシー]の[ハードウェアスキャン]タブを選択し、[カスタムスキャンを有効にする]オプションを選択して、アプリケーション名を指定します。詳細については、セクション 73.6, ワークステーションインベントリポリシーの設定を参照してください。

    このアプリケーションは、スキャナによって起動されます。

custom.iniファイルの作成ガイドライン

custom.iniファイルを使って作業する場合、次のガイドラインに従います。

  • インベントリクラス名が指定されていない場合、カスタム属性およびそれに対応する値は、CIM.UnitaryComputerSystemテーブルに追加されます。
  • 標準属性名が指定されていない場合、カスタム属性およびそれに対応する値は、インベントリデータベースにインベントリクラスのインスタンスが1つ存在する場合に限り、適切なインベントリクラスに追加されます。

    インベントリクラスの複数のインスタンスが存在する場合は、インスタンスを判別するために、標準属性およびそれに対応する値の最小セットを指定する必要があります。

  • 標準属性には、それぞれ対応する値が設定されている必要があります。
  • 実行される処理(追加または削除)が指定されていない場合、カスタム属性の値は、適切なインベントリクラスに追加されます。
  • カスタム属性名またはカスタム属性値にセミコロン(;)を使用しないでください。スキャナは、セミコロン(;)の後にくるデータを無視します。
  • カスタム属性名には英数字だけを使用します。
  • カスタム属性値が日付の場合、YYYY-MM-DD (年-月-日)の形式で日付の値を入力する必要があります。
  • 照会に複数の標準属性または標準属性値が含まれる場合、標準属性名および標準属性値の区切り文字としてカンマ(,)を使用します。
  • 標準属性値にカンマ(,)が含まれる場合、カンマの前にバックスラッシュ(\)を使用します。

    たとえば、標準属性値が“Novell, Ltd.”の場合、custom.iniファイルではこの標準属性値を次のように記述する必要があります。

    Novell\, Ltd.
    
  • custom.iniファイルには、複数のセクションを設定できます。

    次に、2つのセクションが設定されたcustom.iniのサンプルファイルを示します。

    [START_CIM_OBJECT]
    Class = Computer System Information
    RegularAttrs = Name, PrimaryOwnerContactID
    RegularVals = John, 56
    Action = D
    EmployeeName= Tom
    EmployeeId=568
    [END_CIM_OBJECT]
    [START_CIM_OBJECT]
    Class = Diskette Drive
    RegularAttrs = DisketteDeviceID
    RegularVals = A:
    Action = A
    Manufacturer = Sony
    [END_CIM_OBJECT]
    
  • 照会が標準属性の複数のインスタンスを返す場合、カスタム属性およびそれに対応する値はインベントリデータベースに追加されません。

    たとえば、ワークステーションに2つのフロッピードライブが存在し、1つはA:にマップされ、もう1つがB:にマップされている場合、その両方のドライブの記憶容量はそれぞれ1440KBです。カスタム属性として「Rate」を追加しようとしている場合、次のようにDisketteCapacity標準属性だけで照会を記述することはできません。

    [START_CIM_OBJECT]
    Class = Diskette Drive
    RegularAttrs = DisketteCapacity
    RegularVals = 1440
    Action = A
    Rate = $100
    [END_CIM_OBJECT]
    

    この照会は、2つのインスタンスを返します。1つは、A:にマップされたフロッピードライブであり、もう1つはB:にマップされたフロッピードライブです。このカスタム属性および属性値はインベントリデータベースに追加されません。

    この場合、custom.iniを次のとおり記述し直すことができます。

    [START_CIM_OBJECT]
    Class = Diskette Drive
    RegularAttrs = DisketteDeviceID
    RegularVals = A:
    Action = A
    Rate = $100
    [END_CIM_OBJECT]
    [START_CIM_OBJECT]
    Class = Diskette Drive
    RegularAttrs = DisketteDeviceID
    RegularVals = B:
    Action = A
    Rate = $100
    [END_CIM_OBJECT]
    

カスタム属性およびカスタム属性値の表示

すべてのインベントリ対象ワークステーションのカスタム属性およびその値をワークステーションインベントリで表示できます。詳細については、セクション 77.1.2, インベントリ対象ワークステーションのインベントリサマリの表示を参照してください。

カスタムインベントリスキャンの例

  • 例1: カスタム属性であるEmployee Name(値XYZ)およびEmployee Code(値BLR_TERCH_5000234)をCIM.UnitaryComputerSystemに追加します。

    [カスタム属性エディタ]ダイアログボックスを使用して、Computer System InformationにEmployee NameおよびEmployee Codeを追加します。

    次の内容を持つcustom.iniファイルを作成します。

    [START_CIM_OBJECT]
    Employee Name = XYZ
    Employee Code = BLR_TERCH_5000234
    [END_CIM_OBJECT]
    

    custom.iniファイルを作成した後、Novell Desktop Management Schedulerを実行してスキャンを開始します。

  • 例2: 標準属性DisketteDeviceIDの値がA:の場合、カスタム属性であるPriceと値$4.00をZENworks.ExtendedDisketteDriveに追加します。標準属性DisketteDeviceIDの値がB:の場合、カスタム属性であるPriceと値$8.00をZENworks.ExtendedDisketteDriveに追加します。

    [カスタム属性エディタ]ダイアログボックスを使って、Diskette DriveにPriceを追加します。

    次の内容を持つcustom.iniファイルを作成します。

    [START_CIM_OBJECT]
    Class =Diskette Drive
    RegularAttr = DisketteDeviceID
    RegularVals = A:
    Price = $4.00
    [END_CIM_OBJECT]
    [START_CIM_OBJECT]
    Class = Diskette Drive
    RegularAttr = DisketteDeviceID
    RegularVals = B:
    Price = $ 8.00
    [END_CIM_OBJECT]
    

    custom.iniファイルを作成した後、Novell Desktop Management Schedulerを実行してスキャンを開始します。

  • 例3: CIM.UnitaryComputerSystemからカスタム属性Employee Nameを削除します。

    次の内容を含むcustom.iniを作成します。

    [START_CIM_OBJECT]
    Action = D
    Employee Name = XYZ
    [END_CIM_OBJECT]
    

    custom.iniファイルを作成した後、Novell Desktop Management Schedulerを実行してスキャンを開始します。

  • 例4: CIM.UnitaryComputerSystemでEmployee Codeの値をBLR_TERCH_5000234からBLR_TEST_1200012にリセットします。

    次の内容を持つcustom.iniファイルを作成します。

    [START_CIM_OBJECT]
    Action = A
    Employee Code = BLR_TEST_1200012
    [END_CIM_OBJECT]
    

    custom.iniファイルを作成した後、Novell Desktop Management Schedulerを実行してスキャンを開始します。

  • 例5: 標準属性Familyの値が178、MaxClockSpeedの値が1500の場合、カスタム属性Priceおよび値$100.00をCIM.Processorに追加します。標準属性Familyの値が178、MaxClockSpeedの値が2000の場合、カスタム属性Priceおよび値$250.00をCIM.Processsorに追加します。

    [カスタム属性エディタ]ダイアログボックスを使用して、ProcessorにPriceを追加します。

    次の内容を持つcustom.iniファイルを作成します。

    [START_CIM_OBJECT]
    Class = Processor
    RegularAttr = Family, MaxClockSpeed
    RegularVals = 178, 1500 ; Pentium 4 with MaxClockSpeed = 1500 MHz
    Price = $ 100.00
    [END_CIM_OBJECT]
    [START_CIM_OBJECT]
    Class = Processor
    RegularAttr = Family, MaxClockSpeed
    RegularVals = 178, 2000  ; Pentium 4 with MaxClockSpeed = 2000 MHz
    Price = $ 2500.00
    [END_CIM_OBJECT]
    

    custom.iniファイルを作成した後、Novell Desktop Management Schedulerを実行してスキャンを開始します。

76.2.2 IBMコンピュータモデルのスキャン

IBMNAMES情報([ワークステーションインベントリポリシー]の[設定エディタ]>[IBMNAMES]を使用して設定)を使用して、Windows 98を実行しているIBMインベントリ対象ワークステーションに関する情報を取得します。スキャナは、[ワークステーションインベントリポリシー]の[設定エディタ]オプションで指定されているコンピュータの種類およびモデル番号の情報を使用して、モデル名を読み取ります。

IBMNAMES情報を使用したスキャンはIBMコンピュータだけを対象としており、スキャナによって定義されたIBMインベントリ対象ワークステーションのモデル名のスキャンを実行します。[設定エディタ]に一覧表示されていない新しいIBMインベントリ対象ワークステーションが存在する場合、このインベントリ対象ワークステーションのモデル番号はスキャンされません。新しいIBMインベントリ対象ワークステーションのコンピュータの種類、モデル番号、およびモデルに関する説明を追加するには、[ワークステーションインベントリポリシー]の[設定エディタ]でIBMNAMES情報を編集する必要があります。このエントリを追加することにより、スキャナは新しいモデル名を認識できるようになります。

IBMコンピュータモデルを追加するには

  1. [ワークステーションインベントリポリシー]で、[設定エディタ]タブをクリックします。

    詳細については、セクション 73.6, ワークステーションインベントリポリシーの設定を参照してください。

  2. [IBMNAMES]サブオプションをクリックし、[デフォルト設定]をクリックします。

    デフォルト値が表示されます。

    [Product Names]
    
    6260-??? = IBM PC 140 
    
    6272-??? = IBM PC 300GL 
    
    6282-??? = IBM PC 300GL 
    
    6284-??? = IBM PC 300GL 
    
    ...
    

    セクション内の各エントリの形式は、次のとおりです。

    4_bytes_machine_type-3_byte_model_number=model_description
    

    たとえば、モデルがIBM PC 140で、コンピュータの種類が6260の場合、モデルの説明としてIBM PC 140を指定します。ibmnames.iniのエントリは6260-79T = IBM PC 140になります。

    モデルの説明が同じ、特定の種類のコンピュータのすべてのIBMコンピュータモデルを、スキャナを使ってスキャンする場合、3_byte_model_numberにワイルドカード文字として3つの疑問符(???)を指定します。

    たとえば、モデルの説明が共通で、コンピュータの種類が6282であるすべてのモデルをスキャンする場合、エントリは次のようになります。

    6282-???=IBM PC 300GL
    

    コンピュータの種類およびモデル番号は、ラップトップの場合には背面、デスクトップワークステーションの場合には裏側に印刷されています。たとえば、760E Thinkpad*モデルには、TYPE 9546-A98というラベルが貼り付けられています。

  3. エントリを追加または変更します。

    デバイスIDエントリに間違った値を指定すると、そのデバイスはインベントリウィンドウに表示されません。

  4. [OK]をクリックします。

76.2.3 Jaz、Zip、およびフロッピードライブのベンダのハードウェアスキャン情報のカスタマイズ

インベントリ対象ワークステーションでは、バックアップデバイスおよびフロッピーデバイスなどのデバイスベンダに関するスキャン情報は、通常利用できません。こうした情報が利用できる場合でも、ベンダ情報に詳細情報が含まれることはありません。[ワークステーションインベントリポリシー]>[設定エディタ]>[圧縮された名前]の順に移動して、こうしたデバイスのベンダに関する情報をカスタマイズして更新することができます。スキャナは、これらのデバイスのハードウェアスキャンプロセスの実行中に、この情報を読み取ります。

表示用のベンダ情報をカスタマイズして更新するには

  1. [ワークステーションインベントリポリシー]で、[設定エディタ]タブをクリックします。

    詳細については、セクション 73.6, ワークステーションインベントリポリシーの設定を参照してください。

  2. [ZIPPED NAMES]サブオプションをクリックし、[デフォルト設定]をクリックします。

    デフォルト値が表示されます。

    [Identifier]
    
    iomega ZIP 100=Iomega 100MB Backup Device
    
    iomega jaz 1GB=Iomega 1GB Backup Device
    
    IOMEGA ZIP 100         D.13=Iomega Corporation
    
    IOMEGA ZIP 1GB         D.13=Iomega Corporation
    
    ...
    

    セクション内の各エントリの形式は、次のとおりです。

    [Identifier]
    
    device_id=vendor_display_name_you_specify
    

    device_idには、インベントリ対象ワークステーションにデバイスをインストールするときにベンダによってレジストリ内に生成および更新される一意のIDが入ります。

    たとえば、このセクションの内容は次のようになります。

    [Identifier]
    
    iomega ZIP 100=Iomega 100MB Backup Device
    

    このエントリは、インベントリ対象ワークステーションにインストールされた100MBのZipドライブを示しています。

  3. エントリを追加または変更します。

    デバイスIDエントリに間違った値を指定すると、そのデバイスはインベントリウィンドウに表示されません。

  4. [OK]をクリックします。

76.2.4 DMIを使ったベンダ固有の資産情報のスキャン

  1. [ワークステーションインベントリポリシー]で、[設定エディタ]タブをクリックします。

    詳細については、セクション 73.6, ワークステーションインベントリポリシーの設定を参照してください。

  2. [アセット情報]サブオプションをクリックし、[デフォルト設定]をクリックします。

    次のエントリが適用されます。

    [ASSETTAG]
    
    DMI1_CLASSNAME=
    
    DMI1_ATTRIBUTEID=
    
    DMI2_CLASSNAME=
    
    DMI2_ATTRIBUTEID=
    
    [SERIALNUMBER]
    
    DMI1_CLASSNAME=
    
    DMI1_ATTRIBUTEID=
    
    DMI2_CLASSNAME=
    
    DMI2_ATTRIBUTEID=
    
    [MODEL]
    
    DMI1_CLASSNAME=
    
    DMI1_ATTRIBUTEID=
    
    DMI2_CLASSNAME=
    
    DMI2_ATTRIBUTEID=
    
    [COMPUTERTYPE]DMI1_CLASSNAME=DMI1_ATTRIBUTEID=
    
    [MODELNUMBER]DMI1_CLASSNAME=DMI1_ATTRIBUTEID=
    
  3. 値を指定します。

    [Asset Information]には、次のセクションが含まれます。

    • [ASSETTAG]セクションには備品タグを指定します
    • [SERIALNUMBER]セクションにはシリアル番号を指定します 
    • [MODEL]セクションにはコンピュータモデルを指定します
    • [COMPUTERTYPE]にはコンピュータの種類を指定します
    • [MODELNUMBER]にはコンピュータのモデル番号を指定します

    各セクションには、特定のDMIクラス名およびDMIクラス属性IDが含まれます。

    [Asset Information]の書式は次のとおりです。

    [ASSETTAG] 
    
    DMI1_CLASSNAME=DMI_class_name_for_asset_tag
    
    DMI1_ATTRIBUTEID=DMI_attribute_ID_for_asset_tag
    
    [SERIALNUMBER]
    
    DMI1_CLASSNAME=DMI_class_name_for_serial_number
    
    DMI1_ATTRIBUTEID=DMI_attribute_ID_for_serial_number
    
    [MODEL] 
    
    DMI1_CLASSNAME=DMI_class_name_for_computer_model
    
    DMI1_ATTRIBUTEID=DMI_attribute_ID_for_computer_model
    

    [Asset Information]の各セクションの値には、最大64文字長の文字列を設定できます。

    DMIクラス名には、DMTF|COMPONENTID|00x以外の任意のDMIクラスを設定できます。

    異なるカスタムDMIクラスを実装しているDMIベンダが複数存在する場合、複数のDMIクラスを指定できます。前に示したセクションでは、最大5つのクラスを指定できます。たとえば、5つのクラスを指定した場合のアセット情報は次のようになります。

    [ASSETTAG] 
    
    DMI1_CLASSNAME=DMI_class_name_for_asset_tag
    
    DMI1_ATTRIBUTEID=DMI_attribute_ID_for_asset_tag
    
    DMI2_CLASSNAME=DMI_class_name_for_asset_tag
    
    DMI2_ATTRIBUTEID=DMI_attribute_ID_for_asset_tag
    
    DMI3_CLASSNAME=DMI_class_name_for_asset_tag
    
    DMI3_ATTRIBUTEID=DMI_attribute_ID_for_asset_tag
    
    DMI4_CLASSNAME=DMI_class_name_for_asset_tag
    
    DMI4_ATTRIBUTEID=DMI_attribute_ID_for_asset_tag
    
    DMI5_CLASSNAME=DMI_class_name_for_asset_tag
    
    DMI5_ATTRIBUTEID=DMI_attribute_ID_for_asset_tag
    

    スキャナはDMI1を処理し、DMI1の値が有効な場合は、残りのDMIクラスを処理しません。

  4. [OK]をクリックします。

  5. インベントリ対象ワークステーションでスキャンを実行します。

    eDirectoryの[最少限の情報]および[Workstation Summary(ワークステーションサマリ)]ウィンドウにインベントリ情報が表示されることを確認します。

76.2.5 モニタサイズに関するハードウェア情報のカスタマイズ

モニタでスキャンされる属性は次のとおりです。

Nominal Size: モニタの対角線上の長さを示す数値(画面の片隅から反対側の隅までの距離)。たとえば、17インチ”。

Viewable Size: イメージを縁取る黒い枠を除いて、画面イメージの対角線上の長さを示す数値。例: 15.8インチ”。

インベントリスキャナは、Windowsインベントリ対象ワークステーションのモニタの表示可能サイズを自動的にスキャンします。ワークステーションインベントリポリシーを使用して、レポートするモニタの公称サイズをカスタマイズできます。

重要:インベントリスキャナは1997年以降に製造されたモニタのインベントリ情報のみレポートします。

モニタの公称サイズのスキャンをカスタマイズするには

  1. [ワークステーションインベントリポリシー]の[設定エディタ]タブをクリックして、[HWRules]サブオプションをクリックします。

    [ワークステーションインベントリ]ダイアログボックスでのHWRules.iniファイルの設定
  2. [デフォルト設定]をクリックします。

    デフォルトの値が[設定エディタ]ボックスに表示されます。

  3. エントリを追加または変更します。

    hwrules.iniの書式は次のとおりです。

    [MONITOR_SIZE_RANGE]
    
    minimum_viewable_size_you_specify:maximum_viewable_size_you_specify = nominal_size_you_specify 
    
    [MONITOR_NOMINAL_SIZE]
    
    model_ID_reported_by_scanner = nominal_size_you_specify 
    

    [MONITOR_SIZE_RANGE]セクションに、表示可能サイズの最小と最大の範囲、およびモニタの対応する公称サイズを指定します。インベントリスキャナは、モニタのモデルIDをスキャンし、hwrules.iniファイルの[MONITOR_NOMINAL_SIZE]セクションに設定されている公称サイズをレポートします。

    [MONITOR_NOMINAL_SIZE]セクションで、モデルIDとInventory Scannerからレポートされた対応する公称サイズを指定します。この情報は、[ハードウェア/ソフトウェアインベントリ]>[ハードウェア]>[モニタ]属性の[インベントリサマリ]ダイアログボックスに表示されます。

    スキャンしたモデルIDが[MONITOR_NOMINAL_SIZE]に表示されていない場合、Scannerはモニタの表示可能サイズをスキャンします。表示できるサイズに基づいて、スキャナは、hwrules.iniファイルの[MONITOR_SIZE_RANGE]セクションで設定された公称サイズをレポートします。

    たとえば、hwrules.iniファイルの内容は、次のようになります。

    [MONITOR_SIZE_RANGE]
    
    10.0:12.0=12.0
    
    13.2:13.7=14.0 
    
    [MONITOR_NOMINAL_SIZE]
    
    IBM1990=17.0
    
    PHL080B=15.0
    
  4. [OK]をクリックして、内容をワークステーションインベントリポリシーに保存します。