第15章
ユーザがJ2EEアプリケーションを使用できるよう、J2EEサーバにアーカイブを展開します。この章では、Novell exteNd Director 開発環境を使用してJ2EEアーカイブを展開する方法について説明します。この章は、次のトピックで構成されています。
exteNd Director 開発環境では、次のJ2EEサーバにアーカイブを展開するための組み込みサポートが提供されています。
サポートされているサーババージョンの最新情報については、Novell exteNdのリリースノートを参照してください。
注記: IBM WebSphereでは、直接展開のための組み込みサポートが提供されていません。WebSphereの開発ツールを使用する必要があります。
exteNd Director 開発環境で生成したアーカイブを展開するには、次の方法を使用できます。
アプリケーションの開発、テスト、および修正の段階では、結果をすばやく確認できる必要があります。つまり、アプリケーションを変更して、アプリケーションを再展開することなくただちに結果を確認したい場合があります。exteNd Director 開発環境では、「高速展開」を使用して、このような目的を実現できます。高速展開を指定するには、[展開設定]ダイアログボックスでチェックボックスをオンにするだけです(展開設定の作成を参照してください)。アプリケーションの展開時には、ターゲットサーバのネイティブファイルシステムの展開機能が使用されます。
高速展開が最も役立つのは、JSPページ、HTMLページ、イメージ、WEB-INF\libディレクトリ内のJAR、またはWEB-INF\classesディレクトリ内のクラスが含まれるWebアプリケーションを変更した場合です。他のアプリケーションコンポーネント(WARタグライブラリまたは展開記述子などの)を変更した場合は、exteNd Directorにより、自動的に完全展開が実行されます。
高速展開環境の設定の詳細については、展開設定の作成を参照してください。ターゲットサーバにおけるネイティブファイルシステムの展開の詳細については、展開の具体的な処理を参照してください。
exteNd Directorでは、アプリケーションサーバベンダによって高速展開機能がサポートされている場合に限り、この機能を使用できます。次の表は、高速展開機能をサポートしているJ2EEサーバ、および高速展開できるアーカイブの種類について説明しています。
サーバ |
EAR |
WAR |
EJB |
CAR |
RAR |
---|---|---|---|---|---|
Novell exteNd Application Server SilverStream eXtend Application Server |
可 |
可 |
不可 |
不可 |
不可 |
BEA WebLogic |
可 |
可 |
可 |
不可 |
不可 |
Apache Tomcat |
不可 |
可 |
不可 |
不可 |
不可 |
アプリケーションを完全にテストし、運用環境に展開する準備が整ったら、ターゲットサーバの展開設定で高速展開のチェックボックスをオフにすることで、アプリケーションをサーバに展開できます。exteNd Directorは、ターゲットサーバのネイティブ展開ツールを使用して、適切な展開ディレクトリにアプリケーションを展開します。
別の方法として、使用するJ2EEサーバで提供されている展開機能を使用して、生成されたアーカイブをexteNd Director 開発環境の外で展開することもできます。これは、exteNd Directorによって生成されるアーカイブが標準J2EEアーカイブであるためです。
exteNd Director 開発環境を使用してJ2EEアーカイブを展開するには、「アーカイブ」が次の要件を満たす必要があります。
J2EE仕様に従って適切に構成されている(アーカイブのコンテンツを参照)
次の情報を設定する必要があります。
開発環境には、次のアクセスまたは許可が必要です。
Novell exteNd Application ServerまたはSilverStream eXtend Application Serverに展開する場合は、一時ファイルの書き込み許可
exteNd DirectorはSilverCmdを起動し、SilverCmdがディスクに一時ファイルを生成します。HOME環境変数を指定していない場合、これらの一時ファイルはサーバのインストールディレクトリに作成されます。HOME変数が定義されている場合は、アクセスおよび書き込みの可能な場所を指している必要があります。一時ファイルの場所は次のとおりです。
サーバ |
Home環境変数 |
---|---|
Novell exteNdApplication Server |
NOVELL_EXTEND_APPSERVER_HOME\.appsrv |
SilverStream eXtendApplication Server |
SILVERSTREAM_HOME\.silverstream |
これらの条件がすべて満たされている場合は、プロジェクトの展開を参照してください。
SunのJ2EE仕様では、さまざまなJ2EEアーカイブを展開用にパッケージ化する方法が定義されます。展開を行う前に、アーカイブが次の要件を満たしていることを確認してください。次の表は、要件を簡単に示しています。詳細については、『J2EE Blueprints』を参照してください。このドキュメントは、java.sun.com/j2ee/docs.htmlにあります。
J2EEモジュール |
標準のアーカイブ要件 |
---|---|
アプリケーションクライアント |
次を含むJARファイル |
EAR |
次を含むEARファイル |
EJB JAR |
次を含むJARファイル |
RAR |
次を含むRARファイル |
WAR |
次を含むWARファイル |
各J2EEサーバにはランタイム情報が必要で、この情報には各サーバで独自の形式が使用されます。次の表は、サポートされている各サーバに必要な展開ドキュメントについて説明しています。
J2EEサーバ |
アーカイブ |
サーバ展開情報 |
---|---|---|
Novell exteNdApplication Server SilverStream eXtendApplication Server |
CAR (アプリケーションクライアント) EAR EJB RAR WAR |
各タイプのアーカイブは、「展開計画」と呼ばれるXMLベースのドキュメントを使用します。展開計画には、任意のファイル名を指定でき、アーカイブファイル外部の任意の場所に配置できます。各アーカイブタイプのDTDは、サーバにより定義されます。 「展開計画エディタ」を使用して、展開計画を作成して追加できます。
|
BEA WebLogic |
アプリケーションクライアント EAR EJB RAR WAR |
EAR以外の各タイプのアーカイブには、XMLベースの特別なドキュメントが必要です。EARには特別な展開ドキュメントは必要ありませんが、EARに含まれる個々のモジュールには適切なWebLogic展開ドキュメントが必要です。
|
Apache Tomcat |
WAR |
特別なファイルは必要ありません。 |
プロジェクトを展開する前に、プロジェクトの展開設定を定義する必要があります。展開設定により、プロジェクトの展開を計画しているサーバについての情報が提供されます。
注記: exteNd Application Serverに展開する場合に、プロジェクトの現在の展開計画がサーバプロファイルに関連付けられていない場合は、[展開設定]ダイアログボックスでサーバプロファイルを指定するよう求めるメッセージが表示されます。
オプション |
操作内容 |
---|---|
プロファイル名 |
リストからサーバプロファイルを選択するか、[新規]をクリックして新しいプロファイルを作成します。
|
このサーバプロファイルをすべてのプロジェクトのデフォルトとして使用する |
このオプションを選択すると、現在のサーバプロファイルが新しいプロジェクトのデフォルトのプロファイルになります。 |
[ユーザ名]および[パスワード] |
安全なサーバを使用している場合は、[ユーザ名]テキストボックスおよび[パスワード]テキストボックスに、サーバに対して認証されたユーザ名およびパスワードを入力します。 |
高速展開をサポートしているサーバで、次のオプションを指定します。
オプション |
操作内容 |
---|---|
高速展開を有効にする |
テスト用に高速展開機能を使用してアーカイブを展開する場合、このチェックボックスをオンにします。運用展開を行う場合は、オフにします。 実行される処理 - このチェックボックスをオンにすると、exteNd Directorは、サーバプロファイルで指定した高速展開ディレクトリにファイルを書き込みます。 注記: サーバプロファイルで高速展開ディレクトリを設定していない場合は、設定するよう求められます。このディレクトリは、サーバが展開ファイルを書き込むディスク上の場所になり、アプリケーションサーバベンダによって定義されています。多くのサーバでは特定のディレクトリが必要です。リストについては、サーバプロファイルを参照してください。 その他の処理 - 以降の高速展開では、展開領域への更新はexteNd Directorによって管理されます。手動による操作は必要ありません(サーバの高速展開を直接使用する場合は、手動による操作が必要です)。 「使用する場合 - 高速展開は、アプリケーション開発サイクルの開発/テスト/調整の段階で使用します。アプリケーションを運用環境に展開する際には、このオプションを使用しないでください。
|
Novell exteNdアプリケーションサーバおよび SilverStream eXtendアプリケーションサーバに対しては、次の情報を指定します。
オプション |
操作内容 |
---|---|
展開計画 |
展開計画のファイル名およびディスクの場所を指定します。 |
既存の展開を上書き |
すでに展開されている、タイプと名前が同じオブジェクトを現在の展開で上書きする場合、このチェックボックスをオンにします。 このチェックボックスがオフで、同じ名前とタイプのオブジェクトがサーバ上ですでに存在する場合、展開は失敗します。 |
詳細度 |
表示する情報メッセージのレベルを指定します。 値の範囲は0 (メッセージなし)から5 (最多のメッセージ)です。 |
JSPコンパイルエラーを無視する |
WARおよびWARを含むEARにのみ適用します。 展開でJSPページのコンパイル時のエラーをすべて無視し、正常に作成された項目のみを展開する場合、このチェックボックスをオンにします。 このチェックボックスがオフの場合、コンパイルエラーが発生し、展開は失敗します。 |
SilverCmdフラグ |
(オプション)展開コマンドのコマンドライン引数を指定します。
複数の引数を指定する場合、区切り文字としてスペースを使用します。VM引数を渡す場合、引数の前に+を付ける必要があります。例は次のとおりです。 +Xmx256 ここに入力した値はすべて、構築された展開コマンドの最後に追加されます。 |
BEA WebLogic Serverに対しては、次のオプションを指定します。
展開するすべてのアーカイブがプロジェクトに定義されている必要があります。他のIDEでアーカイブを作成した場合、展開に先立ってプロジェクトを作成する必要があります。
サーバ固有の展開情報およびターゲットサーバの場所が適切な形式で指定されていることを確認します。
詳細については、サーバ展開情報を参照してください。
詳細については、展開設定の作成を参照してください。
注記: サーバが実行されていない場合は、展開に失敗します。
プロジェクトを展開する場合、exteNd Directorは、展開設定を使用してJ2EEサーバを決定します。その後、次のように動作します。
Javaファイルをコンパイルしてアーカイブを作成します(JSPファイルは、展開時、またはブラウザからURLが呼び出されたときにコンパイルされます)。
コンパイルが成功すると、ターゲットサーバに対して適切な展開コマンドをコールします。
次の表は、各サーバでコールされる展開コマンドを説明しています。
exteNd Directorにより、出力ペインの[出力]タブにステータス(成功または失敗)を示すメッセージ、あるいは警告やエラーメッセージが表示されます。
Webサービスウィザードを使用するか、またはNovell exteNd WebサービスSDKを直接使用して、exteNd Director 開発環境でWebサービスを作成すると、HTTP SOAP要求からWebサービスへのアクセスを処理するサーブレットが生成されます。そのため、Webサービス(各WARに対して1つまたは複数)をパッケージ化して、Webサービスが実行されるJ2EEサーバに展開するために、WARが必要になります。
この章の前半で説明されているように、そのWARを通常の方法で展開します。さらに、WebサービスSDKで必要なアーカイブにランタイムでアクセスできることを確認します。
次の目的に必要なJARファイルのリスト |
参照 |
---|---|
Webサービス |
Webサービスの生成に関する章の「生成の準備」 |
Webサービスコンシューマ |
Webサービスコンシューマの生成に関する章の「生成の準備」 |
このアクセスの設定方法は、使用するJ2EEサーバのタイプに応じて異なります。
次のサーバのいずれかに展開する場合は、必要なJARファイルをクラスパスに追加する必要があります(クラスパスに追加する手順については、各サーバのマニュアルを参照してください)。
Novell exteNd Application ServerまたはSilverStream eXtend Application Serverに展開する場合は、JARがWARのWEB-INF/libディレクトリに含まれていれば、必要なJARをサーバのクラスパスに追加する必要はありません。必要なJARがWARに含まれていない場合は、それらのJARをサーバのAGCLASSPATH環境変数に追加するか、またはclasspathJars展開計画要素で指定する必要があります(AGCLASSPATHおよびclasspathJarsについては、各サーバのヘルプを参照してください)。
必要なJARを入手するには、Novell exteNdのtools\compilelibディレクトリからコピーします。
展開サーバによっては、exteNd Director 開発環境内から、展開したアーカイブを無効にしたり、サーバから削除したりすることができます。
exteNd Directorは、展開解除を直接実行するのではなく、この機能を実行するサーバ機能をコールします。そのため、サーバでアーカイブの削除はサポートされていても、無効化がサポートされていない場合などは、開発環境からアーカイブを削除することはできますが、無効にすることはできません。
一般的に、アーカイブを無効にした場合、ファイルはサーバに残りますが使用不可能になります。アーカイブを削除した場合は、ファイルはサーバから物理的に削除されます。ただし、exteNd Directorは、単にサーバの展開解除機能を実行するだけなので、処理の正確な内容はサーバにより異なります。たとえば、高速展開によって展開されたアプリケーションを展開解除しても、展開ディレクトリが削除されたり、その名前が変更されたりするとは限りません。単にアプリケーションへの参照がメタデータから削除されるだけの場合もあります。アーカイブを展開解除した場合に実行される処理の正確な内容については、サーバのマニュアルを参照してください。
次に、exteNd Director 開発環境のサーバ展開解除サポートの概要について説明します。
サーバ |
無効化 |
削除 |
注記 |
---|---|---|---|
Novell exteNdApplication Server SilverStream eXtendApplication Server |
なし |
あり |
|
BEA WebLogic |
あり |
あり |
|
Apache Tomcat |
なし |
あり |
展開解除すると、webappsディレクトリからWARおよびWebアプリケーションディレクトリが削除されます。 |
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