34.1 Application LauncherによるBITSの使用方法の理解

次の節では、Application LauncherとBITSとの間でのやり取りについて説明します。

一般的なBITSの概念および機能の詳細については、MSDN Libraryの「Background Intelligent Transfer Service」を参照してください。

34.1.1 Application LauncherとBITSのプロセス

後にセクション 34.3, Application LauncherがBITSを使用するように有効化およびセクション 34.4, BITSによって転送されるようにアプリケーションを設定するで説明するように、Application Launcherがアプリケーションを転送するためにBITSを使用する場合、Application Launcherとアプリケーションの両方でBITSが有効になっている必要があります。

Application LauncherとアプリケーションでBITSが有効になると、アプリケーションの内容(ファイル、アプリケーションオブジェクト設定など)が含まれるBITSジョブ、およびジョブ設定([再試行の最小間隔]、[進捗がない場合のタイムアウト]、および[優先度])がApplication Launcherによって作成され、次にBITSのジョブがキューに入ります。BITSは、アプリケーションの内容をローカルドライブの一時ディレクトリ(c:\systemroot\temp\$jobid$。systemrootはWindowsのシステムディレクトリ、jobidはBITSジョブのIDを示します)に転送します。BITSが転送を完了すると、Application Launcherがアプリケーションの内容をNALキャッシュにコピーし、インストールまたは起動時にアプリケーションを配布します。

BITSがジョブを処理するしくみの詳細については、「Life Cycle of a BITS Job」を参照してください。

34.1.2 Application Launcherの転送とBITSの転送

次のいずれかの状況では、BITSを使用せずに、Application Launcherがアプリケーションを転送します。

  • ワークステーションにBITS v2.0がインストールされていない。
  • アプリケーションの内容の転送中にBITSで致命的なエラーが発生した。
  • アプリケーションの内容の転送中にBITSで一時的なエラーが発生し、持ち時間内に転送が先に進まない([進捗がない場合のタイムアウト]の設定)。
  • BITSが転送を完了する前に、ユーザがアプリケーションを起動した。これはApplication Launcherのデフォルトの動作です。ただし、転送の制御を再開しないようにApplication Launcherを設定できます。その場合、BITSで転送が終了するまではユーザはアプリケーションを起動できません。または、BITS転送を中断してただちにApplication Launcherでアプリケーションをダウンロードするかどうかに関して、ユーザに対してApplication Launcherにメッセージを表示させることもできます。Application LauncherがBITSを使用するように有効化を参照してください。

34.1.3 BITSジョブ設定

Application Launcherによってジョブが作成され、BITSに渡されるとき、アプリケーションの内容(ファイル、アプリケーションオブジェクト設定など)だけでなく、次の3つの設定も渡されます。

  • [再試行の最小間隔]: アプリケーションの転送中にエラーが発生した場合、BITSはエラーを致命的エラーまたは一時的エラーに分類します。BITSは致命的なエラーを回復することはできません。致命的なエラーはユーザの介入が必要です。BITSは一時的エラーのみ回復可能です。この設定により、一時的エラーの発生から、アプリケーションの再転送を行うまでのBITSの最小待ち時間を指定できます。デフォルト値は600秒(10分)です。

  • [進捗がない場合のタイムアウト]: 一時的エラー発生後に転送が進まない場合、この設定により、BITSにアプリケーションの転送を継続させる日数を指定できます。たとえば、デフォルトの設定(14日)に設定すると、BITSはエラー発生後14日間転送を試みます。14日間の間に転送が進んだ場合、カウンタがリセットされます。転送が進まないためにBITSがタイムアウトになると、転送の制御はApplication Launcherに戻り、アプリケーション自体が転送されます。

  • [優先度]: この設定により、BITSの転送に優先度レベルを割り当てることができます。1つのフォアグラウンド優先度と3つのバックグラウンド優先度(低、標準、高)から選択できます。フォアグラウンドは最も高い優先度であり、次に3つのバックグラウンド優先度が続きます。デフォルトは[バックグラウンド]の[標準]です。

これらの設定は各アプリケーションで設定可能です([アプリケーションオブジェクト]>[配布オプション]タブ>[BITS設定]ページ)。デフォルトの設定を使用するか、またはアプリケーションまたはユーザの必要性に基づいて設定を変更できます。これらの設定の詳細については、セクション 34.5, BITSジョブのデフォルトの設定の変更を参照してください。

34.1.4 BITSの最大の帯域幅の設定

BITSによって使用されているワークステーションのアイドル状態のネットワーク帯域幅の最大量に対するグループポリシーの設定が、Windows XPには含まれています。デフォルトではこの設定は行われません。これによりBITSは、使用可能なすべてのワークステーションのアイドル状態の帯域幅を使用できます。

多くのワークステーション上でBITSを実行している場合、ネットワークに影響がある場合があります。この影響を減らすためには、使用量が多いときにBITSが使用できる帯域幅の量を制限できます。Windowsグループポリシーを使用して、BITSの最大帯域幅の設定を管理するためにZENworksを使用する際の詳細については、セクション 34.6, BITSの最大ネットワーク帯域幅の設定の変更を参照してください。

重要:Windows 2000には、BITSの最大帯域幅のグループポリシーの設定は含まれていません。

34.1.5 スケーラビリティ

多くのアプリケーションを一度に配布したり、多くのファイルを持つアプリケーション配布する場合、Microsoftによって提供されている「BITS scalability guidelines」で最初に確認する必要があります。