Windows NT/2000でeDirectoryツリーをマージするには、DSMERGE.DMLを使用します。DSMERGEは、2つのeDirectoryツリーのルートをマージする機能を持つロード可能モジュールです。DSMERGEのオプションを使用すると、次の処理を実行できます。
DSMERGEユーティリティを使用すると、2つのeDirectoryツリーをマージできます。マージされるのはTreeオブジェクトだけです。コンテナオブジェクトとそのリーフオブジェクトは、マージ後のツリー上でもそれぞれ異なるオブジェクトとして存在します。
マージする2つのツリーはそれぞれソースツリーおよびターゲットツリーといいます。ソースツリーのマージ先ツリーがターゲットツリーです。2つのツリーをマージする場合は、ソースツリー内のいずれかのサーバにDSMERGEをロードします。
DSMERGEを実行しても、コンテナ内のオブジェクトの名前は変わりません。オブジェクト権とプロパティ権はマージ後のツリーでも保持されます。
Novell eDirectoryは、Treeパーティションのマスタレプリカを含むサーバにインストールされます。ソースツリーの他のサーバは、このリリースでサポートされるNDSまたはeDirectoryのバージョンをすべて実行できます。詳細については、「eDirectory for Windows NT/2000のインストール」を参照してください。
Novell eDirectory 8.6は、Treeパーティションのマスタレプリカを含むサーバにインストールされます。このサーバで他のバージョンのNDSまたはeDirectoryが実行されている場合は、マージ操作が正常に完了されません。
ターゲットツリーの他のサーバは、このリリースでサポートされるNDSまたはeDirectoryのバージョンをすべて実行できます。
ソースツリーとターゲットツリーでは、同じ名前のTreeの従属コンテナを持つコンテナを保持することはできません。2つのツリーをマージする前に、一方のコンテナをリネームする必要があります。
ソースツリーとターゲットツリーにセキュリティオブジェクトがある場合は、ツリーをマージする前にツリーのいずれかを削除する必要があります。
マージ操作を実行する前に、2つのツリーのスキーマが正確に一致している必要があります。ツリーごとにTreeパーティションのマスタレプリカを含むサーバでDSREPAIRを実行する必要があります。[リモートスキーマのインポート]オプションを使用して、各ツリーで他のツリーのスキーマがすべて認識されていることを確認します。
Windows NT/2000上でDSREPAIRの[リモートスキーマのインポート]オプションにアクセスするには、次を実行します。
NDSCONS.EXEを実行してNDSCONSOLEを開始します。
DSREPAIR.DMLを選択して、[開始]をクリックします。
[スキーマ]>[リモートスキーマのインポート]の順にクリックします。
このオプションは、ソースツリーとターゲットツリーの両方でスキーマの違いが報告されなくなるまで実行する必要があります。そうでないとマージ操作は成功しません。
ツリーをマージすると、ソースツリー内のサーバがターゲットツリーに組み込まれます。
ターゲットツリーのTreeオブジェクトがソースツリー内のオブジェクトの新しいTreeオブジェクトになり、ソースツリーにあるすべてのサーバのツリー名がターゲットツリーのツリー名に変わります。
ターゲットツリー内のサーバのツリー名はマージ後も変わりません。
ソースツリーのTreeオブジェクトの下位オブジェクトは、ターゲットツリーのTreeオブジェクトの下位オブジェクトになります。
マージ実行時には、ソースツリーのTreeオブジェクトの下にあるオブジェクトがDSMERGEによって複数のパーティションに分けられます。
続いて、ソースツリー内のサーバから、Treeパーティションのレプリカがマスタレプリカを除いてすべて削除されます。ソースツリーのマスタレプリカを保持していたサーバには、ターゲットツリーのTreeパーティションのレプリカが渡されます。
「図 32」および「図 33」は、2つのツリーをマージした場合のパーティションの変化を示します。
図 32
マージ前のeDirectoryツリー
図 33
マージ後のeDirectoryツリー
DSMERGEをロードすると、次のオプションが使用できます。
表 50. DSMERGEのオプション
マージ操作を開始する前に、そのマージ操作の影響を受けるすべてのサーバが安定した状態で同期していることを確認する必要があります。マージ対象のソースツリーとターゲットツリーの準備における推奨事項については、「表 51」を参照してください。
表 51. マージ対象のソースツリーとターゲットツリーの準備における推奨事項
前提条件 | 必要な措置 |
---|---|
ソースツリーまたはターゲットツリーのTreeパーティションのレプリカを保持しているすべてのサーバ上でWANMANがオフになっている。 |
WANMANポリシーを調べて、WAN通信の制約によるマージ操作への支障がないことを確認します。必要があれば、マージ操作を開始する前にWANMANをオフにします。 |
ソースツリーのTreeオブジェクトに別名またはリーフオブジェクトが存在しない。 |
ソースツリーのTreeオブジェクトに存在する別名またはリーフオブジェクトを削除します。 |
ソースツリーおよびターゲットツリー上に同じ名前がない。 |
同じ名前がある場合は、ソースツリー上またはターゲットツリー上のオブジェクト名を変更します。コンテナオブジェクトの名前を変更したくない場合は、コンテナの1つから同じツリー内の別のコンテナにオブジェクトを移動し、空になったコンテナをDSMERGE実行前に削除します。詳細については、「オブジェクトの管理」を参照してください。Treeの直下でないコンテナオブジェクトの場合は、両ツリーに同じコンテナオブジェクトがあってもかまいません。 |
ソースツリー上にログイン接続が存在しない。 |
ソースツリーのすべての接続を終了します。 |
ソースツリーのeDirectoryおよびターゲットツリーのeDirectoryのバージョンが同じである。 |
ルートパーティションのレプリカを持つ、NetWare 5.1以降でないすべてのサーバをアップグレードします。 |
ソースツリーまたはターゲットツリーのルートパーティションのレプリカを保持しているサーバがすべて起動済みで稼動状態である。 |
ソースツリーまたはターゲットツリーのルートパーティションのレプリカを保持するサーバがすべて起動済みで、稼動状態であることを確認します。 影響を受けるすべてのWANリンクが安定していることを確認します。 |
ソースツリーおよびターゲットツリーのスキーマが同じである。 |
DSMERGEを実行します。出力されるレポートからスキーマに問題があることがわかった場合は、DSREPAIRを使用してスキーマを一致させます(スキーマのインポート元のツリーを選択するには、[カスタムオプション]メニュー>[グローバルスキーマの操作]>[リモートスキーマのインポート]の順にクリックします)。その後、もう一度DSMERGEを実行します。 |
単一のツリーだけが、ツリーのルートに対するセキュリティコンテナのサブオーディネートを保持できる。 |
ソースツリーおよびターゲットツリーの両方がセキュリティコンテナを保持している場合、「NMASの注意事項」で説明されている手順に従って、一方のコンテナを削除します。 |
マージ操作は単独のトランザクションなので、実行中に停電やハードウェアエラーが発生しても重大な障害にはつながりません。ただし、DSMERGEを実行する前に、あらかじめeDirectoryデータベースの通常のバックアップをとっておくことをお勧めします。詳細については、「Novell eDirectoryのバックアップと復元 」を参照してください。
重要: 時刻同期の正確な環境設定は複雑な作業です。ツリーをマージする前に、両ツリーを同期させるのに十分な時間があることを確認します。
時刻の異なる複数のタイムソースが使用されていたり、ツリー内のサーバの中に時刻が同期されていないものがあると、eDirectoryは正しく機能しません。
マージを実行する前に、両ツリーにあるすべてのサーバの時刻が同期されていること、およびこれらのサーバがタイムソースとして同じタイムサーバを使用していることを確認します。ただし、ターゲットツリーの時刻は5分以内であればソースツリーの時刻より進んでいてもかまいません。
一般に、1つのツリー上に存在できるタイムサーバは、リファレンスタイムサーバまたはシングルタイムサーバのどちらか1つだけです。同様に、マージ後のツリー上に存在できるタイムサーバも、リファレンスタイムサーバまたはシングルタイムサーバのどちらか1つだけです。タイムサーバのタイプの詳細については、NovellマニュアルのWebサイトにある『Network Time Management』を参照してください。
マージする両ツリーのそれぞれにリファンレスタイムサーバまたはシングルタイムサーバがある場合は、マージ後のツリー上でリファレンスタイムサーバまたはシングルタイムサーバが1つだけになるよう、どちらかのツリーの設定をもう一方のツリーにあるリファンレスタイムサーバまたはシングルタイムサーバに変更します。
時刻同期情報の表示方法については、「時刻同期の確認」を参照してください。
ツリーの名前変更やマージの前に、すべてのサーバのツリー名が同じであることを確認する必要があります。
ツリーのリネームまたはマージの後は、すべてのサーバのツリー名が新しいツリー名になっているか確認します。
NDSCONS.EXEを実行してNDSCONSOLEを開始します。
DSMERGE.DLMを選択して、[開始]をクリックします。
マスタレプリカが格納されている場所が不明な場合は、ツリーをマージすると、正確なサーバ名と一緒に表示されます。
[NDS Merge]画面で、ツリー内の各サーバについて、サーバ名、DSのバージョン、およびステータスを確認します。
ツリーにある各サーバとそのステータス情報が、[NDS Merge]画面に表示されます。何らかの問題があるサーバは、フラグ付きでサーバリストの先頭に表示されます。
マージを実行する前に、各サーバのステータスが[確認済み]になっていることを確認します。
[NDS Merge]画面に表示される情報を「表 52」に示します。
表 52. [NDS Merge]画面のオプション
マージを実行する前に、両ツリーに対してこの手順を実行します。
NDSCONS.EXEを実行してNDSCONSOLEを開始します。
DSMERGE.DLMを選択して、[開始]をクリックします。
マスタレプリカが格納されている場所が不明な場合は、ツリーをマージすると、正確なサーバ名と一緒に表示されます。
[NDS Merge]画面で、ツリーにあるすべてのサーバが同期されていて、同じタイムソースを使用していることを確認します。
[ツリーの時刻同期情報:tree_name]画面の各フィールドは、「表 53」に示すとおりです。
表 53. [ツリーの時刻同期情報]画面のオプション
すべてのメニューオプションの機能を使用できるようにするには、Treeパーティションのマスタレプリカが格納されているサーバ上でDSMERGEを実行します。
マスタレプリカが格納されている場所が不明な場合は、マスタレプリカを必要とする操作を実行すると、正確なサーバ名と一緒に表示されます。
マージ操作を実行するには、ソースツリーにDSMERGEをロードする必要があります。
大きなツリーをマージするときは、Tree直下にあるオブジェクトの数が少ないほうのツリーをソースツリーとして指定したほうが処理速度が大幅に速くなります。マージ実行時には、Treeオブジェクトの直下にあるオブジェクトすべてに対して新しいパーティションを作成する必要があります。直下のオブジェクトの数が少ないほうのツリーをソースツリーとして指定すると、マージ実行時に作成しなければならないパーティションの数が少なくてすみ、処理に時間がかかりません。
ソースツリーの名前はマージ後には存在しなくなります。したがって、場合によっては、クライアントワークステーションの環境設定を変更する必要がでてきます。Novell Client for DOS/Windowsを使用している場合は、NET.CFGファイルの優先ツリーステートメントおよび優先サーバステートメントを確認します。Novell Client for Windows NT/2000またはNovell Client for Windows 95/98を使用している場合は、クライアントのプロパティページにある優先ツリーステートメントおよび優先サーバステートメントを確認します。
優先サーバが使用されている場合は、ツリーのマージやツリー名の変更を行っても、そのクライアントは名前によってサーバにログインした状態のままなので操作による影響はクライアント側にはありません。優先ツリーが使用されている場合は、ツリーのマージやツリー名の変更を行うと、元のツリー名はなくなります。マージを行った後にはターゲットツリーの名前だけが残ります。優先ツリーの名前を新しいツリー名に変更します。
ターゲットツリーの名前はマージの結果作成されるツリーの名前としてそのまま残るので、アップデートする必要のあるクライアントワークステーションの数を少なくするには、クライアントワークステーションの数が多い方のツリーをターゲットツリーとして指定します。
または、マージ操作の後でツリー名を変更して、最終的なツリー名が接続されているクライアントワークステーションの数が多い方のツリーに一致するようにします。詳細については、「ツリー名を変更する」を参照してください。ツリーのマージを行うときは、マージとそれに伴うツリー名の変更のためにシステムをどれだけの間停止する必要があるか、あらかじめ見積もる必要があります。
次の必要条件の一覧を使用して、マージ操作の準備ができているか確認します。
マージプロセス自体には2〜3分しかかかりませんが、次のような場合は、付随的な作業が必要になるため、マージ操作全体に要する時間が長くなります。
2つのツリーをマージするには、次を実行します。
NDSCONS.EXEを実行してNDSCONSOLEを開始します。
DSMERGE.DLMを選択して、[開始]をクリックします。
マスタレプリカが格納されている場所が不明な場合は、ツリーをマージすると、正確なサーバ名と一緒に表示されます。
[操作]>[2つのツリーのマージ]の順にクリックします。
管理者の名前とパスワードを入力して、ソースツリーにログインします。
ソースツリーのTreeオブジェクトに対するスーパバイザオブジェクト権を持つユーザとしてログインします。タイプなしの識別名(例: admin.novell)またはタイプ付きの識別名(例: cn=admin.o=novell)を入力します。「admin」だけを入力した場合は、ユーザオブジェクトの完全識別名ではないため、無効とみなされます。
ターゲット名ドロップダウンリストで、[利用可能ツリー]ウィンドウに表示されるサーバのリストからターゲットツリーを選択します。
必要なツリーが一覧にない場合は、ターゲットツリーのIPアドレスを入力します。
管理者の名前とパスワードを入力して、ターゲットツリーにログインします。
[OK]をクリックして、マージを実行します。
ツリーが正常にマージされたことを示すメッセージが表示されます。
マージする2つのツリーの名前が同じ場合は、どちらかの名前を変更する必要があります。
ここで名前を変更できるのはソースツリーだけです。ターゲットツリーの名前を変更するには、ターゲットツリー上のいずれかのサーバでDSMERGEを実行する必要があります。
ツリー名を変更した場合、クライアントワークステーションの環境設定の変更が必要になる可能性があります。Novell Client for DOS/Windowsを使用している場合は、NET.CFGファイルの優先ツリーステートメントおよび優先サーバステートメントを確認します。Novell Client for Windows NT/2000またはNovell Client for Windows 95/98を使用している場合は、クライアントのプロパティページにある優先ツリーステートメントおよび優先サーバステートメントを確認します。
優先サーバが使用されている場合は、ツリーのマージやツリー名の変更を行っても、そのクライアントは名前によってサーバにログインした状態のままなので操作による影響はクライアント側にはありません。優先ツリーが使用されている場合は、ツリーのマージやツリー名の変更を行うと、元のツリー名はなくなります。マージを行った後にはターゲットツリーの名前だけが残ります。優先ツリーの名前を新しいツリー名に変更します。
2つのツリーをマージする場合、ターゲットツリーの名前はマージの結果作成されるツリーの名前としてそのまま残るので、アップデートする必要のあるクライアントワークステーションの数を少なくするには、クライアントワークステーションの数が多い方のツリーをターゲットツリーとして指定します。
または、マージの後でツリー名を変更して、最終的なツリー名がクライアントワークステーションの数が多い方のツリーに一致するようにします。
マージ後のツリーの名前は、元のソースツリーの名前に変更することもできます。その場合は、ターゲットツリーにあるクライアントワークステーションのNET.CFGファイルを更新する必要があります。
次の必要条件の一覧を使用して、リネーム操作の準備ができているか確認します。
ツリー名を変更するには、次を実行します。
ツリー名をTreeオブジェクトとして持つパーティションのマスタレプリカが格納されているサーバ上で、NDSCONS.EXEを実行してNDSCONSOLEを起動します。
DSMERGE.DLMを選択して、[開始]をクリックします。
マスタレプリカの場所がわからない場合は、ソースツリー内のいずれかのサーバにDSMERGEをロードします。これにより、ツリー名を変更しようとするときに、マスタレプリカが格納されているサーバの名前がプロンプト表示されるようになります。
[操作]>[このツリーのリネーム]の順にクリックします。
管理者の名前とパスワードを入力して、ソースツリーにログインします。
ソースツリーのTreeオブジェクトに対するスーパバイザオブジェクト権を持つユーザとしてログインします。完全識別名(admin.novellまたはcn=admin.o=novellなど)を入力します。「admin」だけを入力した場合は、完全識別名ではないため、無効とみなされます。
新しいツリー名を入力します。
[OK]をクリックして、リネームを実行します。
2つのツリーをマージしたときは、操作を終えたあとで状況に応じて次の作業を行ってください。
[NDS Merge]画面で、すべてのツリー名が正しく変更されたことを確認します。
詳細については、「ツリー内にあるサーバのチェック」を参照してください。
マージ操作によって作成された新しいパーティションを確認します。新しいツリーに小さいパーティションが多数存在する場合や、関連する情報が格納されたパーティションが複数存在する場合は、これらのパーティションをマージすることもできます。
詳細については、「パーティションのマージ」を参照してください。
DSMERGEを実行する前にNetWare 5にサーバをアップグレードしなかった場合は、マージ操作終了後に、NetWare 5以外を実行しているすべてのサーバに新しいレプリカをコピーします。
DSMERGE実行前にリーフオブジェクトや別名をツリーから削除した場合は、それらのリーフオブジェクトや別名をツリーのルートに再作成します。
eDirectoryツリーのパーティション構成を調べます。
マージ後のツリー内でのレプリカの位置はソースツリー内での位置と異なる場合があります。パーティション構成の変更や検査は慎重に行ってください。
クライアントワークステーションの環境設定を更新します。
Novell Client for DOS/Windowsを使用している場合は、NET.CFGファイルの優先ツリーステートメントおよび優先サーバステートメントを確認します。Novell Client for Windows NT/2000またはNovell Client for Windows 95/98を使用している場合は、クライアントのプロパティページにある優先ツリーステートメントおよび優先サーバステートメントを確認します。または、ターゲットツリーの名前を変更します。
優先サーバが使用されている場合は、ツリーのマージやツリー名の変更を行っても、そのクライアントは名前によってサーバにログインした状態のままなので操作による影響はクライアント側にはありません。優先ツリーが使用されている場合は、ツリーのマージやツリー名の変更を行うと、元のツリー名はなくなります。マージを行った後にはターゲットツリーの名前だけが残ります。優先ツリーの名前を新しいツリー名に変更します。
ヒント: ターゲットツリーの名前はマージの結果作成されるツリーの名前としてそのまま残るので、アップデートする必要のあるNET.CFGファイルの数を少なくするには、クライアントワークステーションの数が多い方のツリーをターゲットツリーとして指定します。または、マージ操作を行った後でツリー名を変更して、最終的なツリー名をクライアントワークステーションのNET.CFGファイルの数が多い方に一致させます。詳細については、「ツリー名を変更する」を参照してください。
ソースツリーのTreeオブジェクトのACL(アクセス制御リスト)は保持されます。したがって、このTreeオブジェクトに対してソースツリーの管理者ユーザが持つ権利は、操作後も有効です。
マージ後も、両ツリーの管理者ユーザは存在したままで、それぞれのコンテナオブジェクトによって固有のものとして識別されます。
セキュリティ上必要であれば、2つの管理者ユーザオブジェクトの一方を削除するか、両オブジェクトの権利を制限することもできます。
[ツリーの結合]オプションを使用すると、ソースツリーの単一サーバTreeオブジェクトを、ターゲットツリーにある指定のコンテナに結合できます。結合が完了すると、ソースツリーのツリー名は、ターゲットツリーのツリー名になります。
結合操作中に、DSMERGEによってソースツリーのTreeオブジェクトがドメインに変更され、新しいパーティションを作成します。新しいドメインオブジェクトは、新しいパーティションのパーティションルートになります。ソースツリーのTreeオブジェクトの下位オブジェクトはすべて、ドメインオブジェクトの下に置かれます。
ターゲットツリーの管理者は、作成されたツリーのルートコンテナの権利を持つため、ソースツリーの結合されたルートの権利を持つことになります。
注: 権利継承が再計算されて有効になるには、数時間かかる可能性があります。この時間は、ツリーの複雑さ、サイズ、パーティション数によって変化します。
ソースツリーの管理者は、新しく作成されたドメインオブジェクト内でのみ権利を所有します。
「図 34」と「図 35」に、ツリーを特定のコンテナに結合した場合の変化を示します。
図 34
結合前のeDirectoryツリー
図 35
結合後のeDirectoryツリー
ソースツリーをターゲットツリーのコンテナに結合すると、ソースツリー内にあるオブジェクトの識別名の後に、ソースツリー名と、ソースツリーをマージしたターゲットツリーコンテナの識別名がこの順で追加されます。相対識別名は変わりません。
たとえば、区切り文字としてドットを使用している場合、ソースツリーPreconfigured_tree内にあるオブジェクトAdminのタイプ付きの名前は次のようになります。
CN=Admin.OU=IS.DC=Preconfigured_tree
Preconfigured_treeをOak_treeのNew Devicesコンテナにマージした後は、Adminのタイプ付きの名前は次のようになります。
CN=Admin.OU=IS.DC=Preconfigured_tree.OU=Newdevices
.OU=Engineering.O=Sanjose.T=Oak_tree.
注: 識別名の最大長は256文字です。この制限は、1つのツリーのルートをターゲットツリーの下端近くにあるコンテナに結合する場合に特に重要です。
Oak_treeの後にある最後のドット(Oak_tree.)は、この識別名を構成する最後の要素がツリー名であることを示しています。このドットを省略する場合は、ツリー名も省略します。
結合操作を開始する前に、その結合操作の影響を受けるすべてのサーバが安定した状態で同期していることを確認する必要があります。結合対象のソースツリーとターゲットツリーの準備における推奨事項については、「表 54」を参照してください。
表 54. 結合対象のソースツリーとターゲットツリーの準備における推奨事項
前提条件 | 必要な措置 |
---|---|
ソースツリーまたはターゲットツリーのTreeパーティションのレプリカを保持しているすべてのサーバ上でWANMANがオフになっている。 |
WANMANポリシーを調べて、WAN通信の制約によるマージ操作への支障がないことを確認します。必要があれば、マージ操作を開始する前にWANMANをオフにします。 |
ソースツリー内のサーバが1つである。 |
ソースツリーから、1つだけ残してすべてのサーバを削除します。 |
ソースツリーのTreeオブジェクトに別名またはリーフオブジェクトが存在しない。 |
ソースツリーのTreeオブジェクトに存在する別名またはリーフオブジェクトを削除します。 |
結合コンテナ内に同じ名前がない。 |
同じ名前がある場合は、ターゲットツリーの結合コンテナ内のオブジェクトまたはソースツリー内のオブジェクト名を変更します。 オブジェクト名を変更したくない場合は、コンテナの1つから同じツリー内の別のコンテナにオブジェクトを移動し、空になったコンテナをDSMERGE実行前に削除します。詳細については、「オブジェクトの管理」を参照してください。 同じペアレントオブジェクトの直下でないコンテナオブジェクトの場合は、両ツリーに同じコンテナオブジェクトがあってもかまいません。オブジェクトは、直接のコンテナオブジェクトによって識別されます。 |
ソースツリーおよびターゲットツリーのeDirectoryバージョンが8.5以降である。 |
DSMERGEは、eDirectoryの適切なバージョンを検索します。許容できるバージョンが検出されない場合、DSMERGEはエラーを返します。eDirectory 8.5以降にアップグレードする必要があります。 |
結合コンテナを含むパーティションのレプリカリング内のサーバが起動済みで稼動状態である。 |
結合コンテナが属するレプリカリング内のサーバは、新しく配置されたパーティションルートを表すサブオーディネートリファレンスをソースツリーから受け取ることになるので、結合コンテナが属するレプリカリング内のサーバがすべて起動済みで稼動状態であることを確認します。 影響を受けるすべてのWANリンクが安定していることを確認します。 |
ソースツリーおよびターゲットツリーのスキーマが同じである。 |
DSMERGEで[結合]オプションを実行します。出力されるレポートからスキーマに問題があることがわかった場合は、ターゲットツリー上でDSREPAIRを実行してソースツリーからスキーマをインポートします。 結合操作によって、自動的にスキーマがターゲットツリーからソースツリーにインポートされます。 その後、もう一度DSMERGEを実行します。 |
単一のツリーだけが、ツリーのルートに対するセキュリティコンテナのサブオーディネートを保持できる。 |
ソースツリーおよびターゲットツリーの両方がセキュリティコンテナを保持している場合、「NMASの注意事項」で説明されている手順に従って、一方のコンテナを削除します。 |
ソースツリーのタイムリファレンスが再設定されている。 |
通常、ソースツリーは、ターゲットツリーのサーバからタイムソースを取得するように、セカンダリサーバとして設定される必要があります。 Timesyncを再設定するには、『Network Time Management管理ガイド』の「サーバの時刻同期の設定」を参照してください。 |
ソースツリーをターゲットツリーのコンテナに結合するには、ターゲットツリーのコンテナでソースツリーの受け入れ準備を整えておく必要があります。ターゲットツリーのコンテナは、クラス「ドメイン」のオブジェクトを包含できなければなりません。包含に問題があると、結合操作中に「-611 不正な包含です」というエラーが発生します。
表 55に示す情報を使用して、DSREPAIRを実行して包含リストを変更する必要があるかどうかを判断します。
表 55. ターゲットツリーとソースツリーのコンテナ要件
包含要件が満たされていない場合は、DSREPAIRを実行してスキーマを修正します。
NDSCONS.EXEを実行してNDSCONSOLEを開始します。
DSREPAIR.DMLを選択して、[開始]をクリックします。
[スキーマ]>[オプションスキーマ拡張機能]の順にクリックします。